第5話 マテリアルクリエイター(5)

 レナ達が向かった先には大きな建物が立っていた。それは白い石ブロックを積み重ねて作った、奥に長い大きな長方形の建物だった。入り口は全体が大きな鉄製の扉になっており、今は大きく開かれていた。先ほどワイバーンを討伐してきたレナは、大型のワイバーンでも余裕で中にいれることができそうね、と思いながら扉を眺める。中に入ったレナ達に気づいたのか。一人のかっぷくのいい五十代位の男性が話しかけてきた。


「おう! レナちゃん今日はなんのようだい?」


「おっちゃん、さっき大型のワイバーン二匹を退治して来たから運んでちょうだい」


「さっき騒いでたやつかい? 大型のワイバーンとは、またとんでもないものやったもんだな、どこにおいてきたんだ?」


「町の噴水のところよ」


「わかった、お~い」と解体屋の男は仲間を呼んで指示を出した。


「ワタシは付き添いで行ってくる、じゃ、また今夜……」とアズサは解体屋達と出て行った。


レナはアズサに向かって軽く手を降る。


「で、どう解体すりゃいいんだ?」


「そうね、肉以外はいつもみたいにお願い、肉は全部引き取るわ、あと、とりあえず一キロほどすぐもらえるかしら?」


「レナちゃん、ワイバーンの肉を食うつもりかい?」


「食べるわよ?」


「いやー好き好んで食う奴なんか初めてみるよ」


「いいのよ、料理して美味しくして見せるわ」


「物好きもいるもんだねぇ、そんなことやってると二つ名なんてついちまうぞ」


「どんな名前がつくっていうのよ」


「そうだな、ドラゴンイーターなんかな」


「そんな文字通りの二つ名、冗談じゃないわよ」とレナは肩をすくめる。


「解体後の立ち合いはどうする?」


「ん~めんどくさいから任せるわ、ちょろまかしたら、ただじゃおかないわよ」


 解体屋へ依頼すると獲物の解体が終わった後、そのまま買取業者へ引き取ってもらうことができる。通常は依頼主と解体屋、買取業者の三者で行われるが、レナはそれが面倒だった。解体屋にすべて任せると、たまに取引価格をごまかされたりされることがあるのだが。


「レナちゃん相手にやったら命がいくつあっても足りねぇよ、じゃぁ、そこに座ってちょっと待っててくれ、来たらすぐ肉やるからよ」


「おっちゃん、ありがと」



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る