第2話 マテリアルクリエイター(2)

 レナはどこで食材をさがそうかと考えながら歩いていた。


 少し歩いた所にメインストリートがあるが、そこへは行かずに少し離れた通りにも色々な露店が並んでいる。そこは、レナがよく買い物をする行きつけの店が並んでた。


 レナが歩いていると肉屋の女店主が声をかけてくる。


「レナちゃん、今日はめずらしいお肉が入っているわよ」


「え! なになにー?」


 珍しい肉と聞くと気になるのか颯爽と肉屋へと向かっていく。


「これよ、ミドリバジリスクよ!」


 肉屋の女店主はどうだと言わんばかりに胸を張ってすすめる。


「おばちゃん、ゲテモノじゃないのこれ」


「うちは珍しい肉を売るのがモットーだからね、レナちゃんも好きだろこうゆうのさ」


「いやー、嫌いじゃないけどさ、むしろ好きなんだけどさ、今日は友人が来てパーティするのよ、今日は遠慮しておくわ」


「そうかい残念、そうそうだったらこれならどうだい?」


 といいながら女店主は店の奥に行き、何やら大き目のサイズの何かをとってきた。


「じゃーん! ブラックバッファローだよ」


「え! ブラックバッファロー仕入れたの? 高級食材じゃん!」


 よく、こんなメインストリートから外れたところに店を構える肉屋が、仕入れることができたなと思いながらも、これなら今日のパーティに申し分ないとも思うのであった。


「おばちゃん決めたわ、買うから少しおまけして」


「いつも買ってくれるからね、しょうがないね」


「えへへへへ、ありがと、おばちゃん」


 これなら、今日のメインの食材として申し分ないなと思いながらも、早速今日の夕食が楽しみで仕方がない様子だ。


「レナちゃん、今日もリンゴ買ってかい?」


 話しかけてきたのは果物屋の店主だ、レナはいつも朝ごはんのデザート代わりにここでリンゴを購入して食べながら仕事場へと向かっていたのである。


「おじちゃん、一個ちょうだいな」


「あいよ」


 店主はリンゴを一つレナに向かって放り投げた。


レナはリンゴをキャッチすると、コインを一枚、店主のもとへと投げ返した。


「いつも毎度!」


「こら! あんたたち、行儀悪いよ!」


「ひえ!」


 突然の女性の声に店主は肩を小さくする。


「あはは、ごめんね、おばちゃん!」


 声の主は果物屋の店主の奥さんだった。


「今日友達とパーティだって?」


「そう、今日はリサが帰ってくるんだよ」


「リサちゃんかい、ついに施設から帰ってくるんだね」


「そうだよ、だから今日は私の家でパーティするんだよ」


「そうだったんだね、じゃぁ、これとこれと、これももっていきな」


 店主の奥さんは果物を選んでレナにどんどん渡していく


「え! いいの?」


「いいさいいさ、二人とも小さい時から見ているからねぇ、二人とも私たちの子供みたいなものさね、あんなことになったけど、私はあんたたちを応援してるよ、いつでも頼りにして来ていいんだからね」


「ありがと、おばちゃん」


 レナが御礼を言い終わると、メインストリートの方が騒がしいことに気が付く


「そういえば、今日はあっちのほうが騒がしいわね」


 メインストリートの方を見てみると、城の兵士たちが配置がどうとか、交代だとか、お前はあっちだとか、騒いでいる。


「レナちゃん知らないのかい? 王妃様の体調がすぐれないみたいでね、今、第一王女のアリス様が全体の指揮をとっているみたいだよ」


「それで兵士たちが騒がしいのね」


「王妃様もまだお若いんだけどねぇ、先代の王妃様が早くに亡くなられたから心配ねぇ、王様も今戦場の最前線にいるし、不安だわ、でもまぁこの町にはレナちゃんがいるから大丈夫ね」


「え? それはいくらなんでもちょっと」


 レナは突然の思わぬふりに頭をかいた。


「じゃありがと、おばさん、リサも喜ぶよ」


「リサちゃんにもよろしくね」


 レナは店をはなれた。さすがに食材が重く感じ、家も遠くないのでいったん家に食材を起きに戻った。


 途中、金属音を鳴らして走っていく兵士を見て、王妃様の体調が悪いだけでなんでこんなに慌ただしいのかとレナは疑問に思った。


 家に帰るとティナはもう学校にいったのか、姿が見えなかった。テーブルに食材を乗せ、改めて食材を見ると、もう少し食材がほしいと思った。


 何を買うか迷ったが、あることを思い付きギルドに行くことにした。


 レナは普段着用のワンピースからギルドの仕事をするときの装備に着替えた。軽くて耐久性に優れると言われている、植物の繊維で作った紅色のズボンとシャツ、その上から鉄より軽くて丈夫といわれるミスリルでつくられた白い胸当てにやや薄めに作られた黒いマントを羽織り、動きやすい革製のブーツを履く。


「よし、きょうも決まったね!」とギルドへ向かって行った。


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