第8話 成長
「お世話になりました」
俺がサルタ村に来てから2年が経った。
メイ婆ちゃんは去年亡くなり、俺はサルタ村を卒業する事に決めた。
「特に世話しちゃいねえが、ハルトとの出逢いはいい刺激になった。困ったらいつでも帰って来い」
「ガジルさん、ありがとうございます」
ハルトは村を出た。
(結局ルイス王子からは何も無かったな。てっきり呼び出しでもあると思ったけど…
さて、とりあえずダンジョンに戻って鈍った身体を鍛え直すか…)
ハルトは異世界転移したダンジョンを【始まりのダンジョン】と命名して、基礎体力を上げる為に身体強化を使わずに走り出した。
ー 3日後 ー
(普通に走ったら結構かかったな。またこのダンジョンに潜るなんて、戦闘狂と言うやつだろうか? でもこの先必ず強敵が現れるのはお約束だから、強くなるに越した事はない筈だ。50階層迄はサクッと行くぞ)
ハルトがダンジョンに籠って5ヶ月が経った。
(やば、死ぬとこだった…。魔法無力化とかヤバ過ぎだろ! しかも剣術レベル高過ぎ! でも、課題が見えたな…)
ハルトは現在97階層に居た。
97階層には魔物が一体しか居なかったが、バトル開始から5時間でやっと討伐出来た。
この階層に居たのは一見人族と思える様な魔物で、身長190㌢の人型、右手にはいかにも業物と思われる日本刀を持っていた。
ゴラテア/Lv.165
【称号】ソードマスター
【HP】59000/59000
【MP】0
【腕力】66000
【魔力】0
【防御】45000
【敏捷】53000
【知力】21000
【スキル】鋼の心 剣神 魔法無効
迅神 97階層の主
ハルトは身体強化を使うがゴラテアのスピードにはついて行けず、距離をとって魔法攻撃に切り替えるしかなかった。
しかしいくら魔法を放っても、刀で斬られて拡散される。
(強い。このまま魔法を使っていては、MPが底をついて身体強化が使えなくなる。そうなれば完全に詰みだ。やるしかないか…)
ハルトは収納から剣を取り出した。
この剣は92階層で倒した魔物の剣で、この剣もかなりの業物だった。
ハルトは超回復と身体強化をかけ、意を決して駆け出す。一瞬で間合いに入り、下段から剣を振り上げるが、難なくいなされハルトの左腕が切り飛ばされる。
(くそッ! 超回復があっても太刀打ち出来ない! 早くヤツの剣技を習得するんだ!!)
ハルトは闘いの中で成長する事に賭けていたが、技量があまりにも違う為、苦戦を強いられていた。
ー 3時間後 ー
未だ傷を負うものの、なんとか凌げるまでになっていた。
(偶に動きがやたら遅く感じる時がある…もしかして新スキル獲得したか? このスキルを使いこなせれば…)
ハルト/Lv.148
【称号】#&?&#
【HP】16540/42000
【MP】42600/75000
【腕力】45000
【魔力】90000
【防御】38000
【敏捷】40000
【知力】64000
【スキル】鋼の心 無慈悲の心 剣帝
魔法帝 物理耐性 魔法耐性
収納 転移 超回復 思考加速(N)
次第にゴラテアの斬撃が当たらなくなる。
(これは凄い… ゴラテアの斬撃がスローに見える。これが思考加速か… これなら闘える!)
ハルトは闘いが楽しくなり、夢中で打ち合った。闘い始めからは比べ物にならないほどハルトの剣技が向上し、ゴラテアも楽しんでいる様に見える。
「楽しかったよ。アンタのおかげで強くなれた。そろそろ決着をつけよう…」
「ギギギ…」
2人は剣を鞘に納めて構える。
暫くの沈黙の後、2人がすれ違い様に斬撃を放ちゴラテアは光になり消えていった。
(はぁ〜、しんど。今まで魔法頼りみたいなとこあったから、今回はマジやばだったわ。 ゴラテアがリポップするまで2日あるから、この階層で剣術レベルを上げた方がいいな…)
ハルトはゴラテアの剣術を盗み、レベル上げに努めて3週間が経った。
「ギギギギギギ…」
(よし! ゴラテアも危なげなく倒せる様になった。一度ダンジョンから出て村に行ってみるかな…)
この時点でハルトがダンジョンに潜り6ヶ月が経っていた。
ハルト/Lv.169
【称号】#&?&#
【HP】63000/63000
【MP】80000/80000
【腕力】73000
【魔力】130000
【防御】53000
【敏捷】58000
【知力】90000
【スキル】鋼の心 無慈悲の心 剣神(N)
魔法帝 物理耐性 魔法耐性
転移 収納 超回復 思考加速
ダンジョンから出て、サルタ村に向かったハルトだったが、サルタ村まで5㌔地点で違和感を感じた。
(ん? 魔物が随分多くないか?? サルタ村を出る時に、村の周りを高さ3㍍の
ハルトは身体強化を使い、サルタ村に急いで向かった。村に近づくと、村の入り口でガジルとバルが沢山のゴブリンと格闘してる最中だった。
ハルトはすかさず魔法で援護する。
『
唱えた魔法は新しく覚えた闇魔法で、地面から闇の手が生えてゴブリン達を拘束した。
ハルトは一瞬で駆け寄り、ゴブリン達の首を刎ねる。
「「 ハルト!! 」」
ガジルとバルが驚きの声を上げた。
「いったい何があったんですか!」
「バカ野郎! いったい何処をほっつき歩いてたんだ!!」
ガジルがハルトに怒鳴りつける。
「ガ、ガジルさん、今はハルトに治療を頼んだ方が…」
「そ、そうだな… ハルト、怪我人が大勢いるんだ。治療を頼めないか?」
「勿論大丈夫ですよ!」
ハルトはガジルに連れられひとつの家に入った。
「酷い…」
ハルトは思わず声に出た。
そこには血塗れで寝かされている村人が5人と、足が欠損している騎士がいた。
「いきなりヤツらが攻めて来やがったんだ。ハルトが築いてくれた壁のお陰で全滅は免れたが、この有様だ… 」
「大丈夫ですよ、任せて下さいください」
『
魔法を唱えると、みるみる傷が癒えていく。ハルトは静かに脚が欠損している騎士の横に跪き更に魔法を唱えた。
『
すると欠損していた部分から、ゆっくりと脚が生えてくる。
「 …まぁ、今更驚かんけどな」
ガジルは呆れていた。
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