第7話 ルイス視点

「すまんなルイス」


ひとりの男が頭を下げる。

歳は40位で金髪の大柄な男。この男こそ、アルガス国王のラガス・フォン・アルガスだ。


「父上頭をお上げ下さい! 民を守るのは当然の務めです!!」


「しかしな… お前が行かなくても良かったんだが、貴族供に押し切られてしまった。かくなる上は役目を果たし、無事に帰って来てくれ」


「はっ! 必ず!!」


それから4日後、問題の場所に着いた。

報告ではオークが40体ほど居て、集落を形成してるらしい。


「ラード、状況はどうだ?」


「どうやら、此処で間違いないかと。近くにオークの気配を感じます」


「そうか。此処に拠点を築いて明日から順次討伐を始める!」


「「「はっ!!」」」


拠点を築いて3日。順調に討伐は進み、既に討伐したオークは30体を超えた。


「どうだラード?」


「やはり様子がおかしいですね… これだけ討伐したにも関わらず、魔物の気配が強くなる一方です」


「そうだな… 嫌な予感がする」


その時、ひとりの騎士が慌ててやって来た。


「大変です!」


「どうした!」


「周りをオークに囲まれております! その数約200!」


「バカな… 200ものオークが居るだと? 何故今まで気付かなかった!」


「それが… 見張りをしていた者達が遺体で発見されました。どうやら、昨夜のうちにやられたみたいです…」


「オークにそんな知能はない筈だ!」


「王子、恐らくキングがおります」


「まずいな… 奴は賢い。キングがいるなら全滅もあり得るぞ… 」


それからは逃走の一手だった。

魔物が薄い場所を突破しながら、ひたすら逃げた。なんとか包囲網を突破したものの、右腕に深い傷を負ってしまった。このままだと、傷口から毒素が入って死んでしまうだろう。ラードに腕を落とす様に頼んで俺は気を失った。


気がつくとベッドに寝かされていた。

腕は…まだついている。しかし毒素が回り、意識が朦朧としている… そんな時、ラードが一人の少年を連れて来た。少年が私に何かを呟くと、光が私を包み込んだ。


なんて心地良い。

そうか、私は死んだんだな…

父上、約束を守れず申し訳ありません…


「右腕に違和感はないですか?」


突然少年が私に声をかけてきた。

?? 私は生きている?

それどころか、絶好調に気分がいい。


「あ、あぁ… 問題ない。それどころか、信じられないくらい身体が軽い」


どうゆう事だ?

腕が治ってるし、5歳の時に暗殺されかけて負傷した膝も痛みがなくなってる…

私がボー然としていると、少年が語り出した。


少年の話はとても信じられない内容だったが、この後少年の話が事実だと思い知らされる事になる。

オーク200体をたった1発の魔法で討伐したのだ。


私の横で、ラードがしきりに目で合図してくる。恐らく、この少年を国で囲うつもりだろう。気持ちはわかるが…


事が終わり、少年は村に帰った。

すかさずラードが私に話しかける。


「宜しかったので?」


「そう焦るな、嫌われては元も子もない。それに、あの少年は諸刃の剣。

下手に触れれば、こちらが痛い目をみるぞ。

あれだけの化け物だ。必ずまた機会があるだろう…」


ラードは納得していない様だが、今はこれが正解の筈だ。とりあえず父上に急ぎ報告しなくては…

私は高鳴る鼓動を抑えながら帰路を急いだ。



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