第4話 爆上げ

レベル上げを始めて3週間が経った。


(レベルが上がらなくなってきたな…  もう少し強そうなのに挑むしかないか。

その為には武器が必要だ。前に剣を持ってる魔物がいたよな? 奴を倒して奪って使うか…)


ハルトのレベルは50から上がらなくなっていた為、次の段階へ進む事を決めた。

次の狙いは体長3㍍の鎧を着た魔物で、右手には剣を持っていた。

しかし、明らかにこれまでの魔物とは違い強そうだった。


(鎧を着てると言う事は、雷系に弱いのか?

仮に動きを止めたとして、どうやってとどめを刺す? う〜む、何か違う気がする…)


思考を続ける事30分…


(!? 待てよ? 確かああいった魔物は鎧の中身は空で思念体?みたいなのが動かしてるんじゃなかったか? だとすると、光魔法でとどめを刺せるんじゃ…

試す価値はある! 先ずはせめて光魔法ハイヒールくらいは覚えないとな。)


ハルトは何度か傷を初級光魔法ヒールで回復していた。しかし、まだ上手く扱えてはいななかった為、洞穴で光魔法の修行を始めた。


― 2ヵ月後 ―


(自分の才能が恐い。まさかの帝王級光魔法エクストラヒールまで覚えてしまった… と、とりあえず、これならいける!)


洞穴から出ると狙いの魔物は直ぐに見つかった。


(いた! 少し遠いけど、帝王級光魔法エクストラヒールをかけてみるか…)


ハルトは直ぐ逃げれる様にをかけて、魔物に向かって帝王級光魔法エクストラヒールを唱えた。


「グォォォォォォォォォォ……」


帝王級光魔法エクストラヒールが収まると、20㌢程の魔石と一振りの剣があった。


(!? まさかの一撃? しかも… キター!! レベルアップが止まらない!)


ハルトは知らなかったが、いま倒したは高ランク冒険者パーティーでも倒せない Sランクの魔物だった。

唯一の弱点が光魔法だが、そもそも光魔法が使える人間は数える程しか居ない為、もし出会ったら一目散に逃げるしかない程の魔物だった。


ハルトはやっとレベルアップが鳴り止んだステータスを見る。


ハルト/Lv.68

【称号】#&?&#

【HP】3600/3600

【MP】9200/9200

【腕力】2000

【魔力】7700

【防御】1200

【敏捷】600

【知力】4000

【スキル】 鋼の心 無慈悲の心 


(なんか思ってたのと違う。 もっと苦労すると思ってたんだけどな…

ま、まぁ、危険がない事はいい事だ…とりあえず、剣と魔石を拾って洞穴に戻ろう)


(今回は上手くいったからいいけど、次も上手く行くとは限らない。剣も手に入ったし、先ずは素振りをして鍛えよう。)


ブラックアーマーの剣は非常に重く、両手で持ち上げるのがやっとだった。ハルトは必死に剣を持ち上げて素振りを繰り返す。

転生前の反動からか、普通なら苦しい事も今のハルトには楽しくて仕方がなかった。


素振りを始めて1年、身体は見違える程に引き締まり、今では片手で剣を振るえるまでになっていた。


(いやー、びっくりなんですけど。気付けばステータスがヤバい事になってた…)


ハルト/Lv.68

【称号】#&?&#

【HP】8800/8800

【MP】25000/25000

【腕力】5500

【魔力】16000

【防御】4000

【敏捷】3300

【知力】8000

【スキル】鋼の心 無慈悲の心 剣帝 

     魔法帝 収納

     

(感無量…レベルは上がってないけど、 頑張った甲斐があるわ。確かにレベルが上がればステータスも上がるけど、一撃じゃあパワーレベリングと変わらんもんな…

きちんと鍛えてこその強さだわ。素振りをしながら、魔法の修行もしたおかげで魔力量も結構伸びたな… そろそろ実戦してみるか。)


ハルトはをかけて洞穴を出た。

魔物を探す事10分、20㍍先に以前見た魔物がいた。ハルトは訓練中に身に付けた魔法を早速使った。


『鑑定』


サイクロプス/Lv.88

【称号】ネオ

【HP】18000/18000

【MP】20/20

【腕力】9000

【魔力】10

【防御】8800

【敏捷】4500

【知力】2000

【スキル】 超回復 剛力 


(… 普通に無理。

ヤバかった!! 鑑定覚えてなかったら突っ込んでた! 無理せず鎧の魔物でレベル上げをしよう…)


ハルトはサイクロプスとは逆方向へ進み、鎧の魔物を探した。


(いた、いた。)


『鑑定』


ブラックアーマー/Lv.90

【称号】闇王

【HP】16000/16000

【MP】6000/6000

【腕力】8000

【魔力】3600

【防御】11000

【敏捷】6800

【知力】5500

【スキル】 物理攻撃無効 闇魔帝 剣帝


(バカ強じゃねぇか! 光魔法が使えなかったら100%倒せないぞ…

今更ながら寒気がしてきた。と、とりあえず、サクッと倒すか…)


帝王級光魔法エクストラヒール


「グオォォォォォォォ…」


(なんかゴメンなさい… )


その日からブラックアーマーを狩り、洞穴で素振りをする毎日を過ごして2年。

今ではサイクロプスも危なげなく倒せる様になっていた。


(転移してどれくらい経ったんだろうな… 上にあがる階段は見付けてあるし、そろそろ行くか…)


ハルトは旅立つ決意をし、洞穴から出て洞穴の入口に向かい語りかけた。


「こんなに楽しい毎日を過ごさせてくれてありがとう。最初はどうなる事かと思ったけど、気付けば毎日がかけがえのないものになっていた。いつかまた来るその日までさよならだ。本当にありがとうございました…」


ハルトは静かに歩き出した。










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