第3話 ステータス

ハルトは目を覚ましたが、洞窟は常に薄暗い為どれだけの時間が経ったのか分からなかった。


(ふぅ、寝落ちしてたか… もしかしたら小説ではお馴染みの魔力貧血症かもな。

これを繰り返せば魔力量が増えるんだっけか? 少し魔法を使っただけでこれじゃあ、俺の魔力量はかなり少ないみたいだな… 課題が山積みだがやるしかない。

とりあえず罠を見てみるか…)


(うぉ!? な、なんだと!!)


ハルトは穴を覗いてビックリした。

上手く行けばとれるかもしれない… なんて考えは間違いだったのだ。


(いったい何匹いるんだ!)


予想外に、罠の中はトカゲで溢れかえっていて溺れ死んでいる。


(長居は無用だ。とりあえず全部とって洞穴に戻るか)


ハルトは罠に掛かってた獲物を全て集めて洞穴に戻り、いったん罠を埋めた。


(とりあえず食料は大丈夫かな? 後はどうやって食べるかだが… 流石に生は無理だな。火魔法で焼くにも、燃やせる物もないしな… 薄くスライスして石の上で焼いてみるか。)


ハルトは何か切るものが必要になると思い、洞穴にあった石を加工してナイフを作ってあった。


(この石でいいか… )


初級火魔法ファイア


ハルトは良さげな石を火魔法で燃やして暫く待つ。その間にトカゲを捌いてスライスしてみる。


(ふむ…、初めてにしては上出来だな。 そろそろ火も消えたし焼いてみるか)


ジュウゥゥ!!


(うぉぉおー!? なんて美味そうな匂いだ!

これ絶対当たりだろ! た、食べてみよう…)


「う、う、うまーい!!!!

なんて美味さだ! 爬虫類?なのに牛肉の味がする! しかもかなり美味い!!」


ハルトは夢中で肉にかぶりついた。


(ふぅ…、満足。久しぶりの食事と言う事もあったけど、それを差し引いてもかなり美味かったな。食料も確保出来たし、これからの計画をたてるか…


1.魔力量を増やす

2.魔法の検証を行う

3.強力な魔法を覚える

4.此処から脱出する


とりあえずこんなところか…

魔力量の増やし方は小説の通りにやるとして、魔法の特性?適性?を理解しないとな。

確か魔法には適性があり、使えない魔法があったりするはずだ。

今のところ 水・土・火魔法は使えたから、後は 風・光・闇ってところかな?

焦って死んだら元も子もないから、慎重に検証しながらやってみるか…)


ハルトは食料も確保できる事が分かり、具体的な目標を決めて歩み始めた。


起きてる間は魔法を検証し、魔力貧血症になり眠るをひたすら繰り返す。

そのおかげで、日に日に魔力貧血症になるまでの間隔が長くなってきていた。


(この洞窟に転移してどれくらい経ったんだろうか…感覚的には半年は経った感じだが分からん。魔力量もかなり増えたし、使えそうな魔法も覚えた。そろそろ周辺の探索を始めてみるか…)


ハルトは半年と思っていたが、実際には1年が過ぎていた。

この世界では魔力量は10歳までに決まると言われており、毎日小説に出てくる魔法を片っ端から魔力貧血症になるまで使用していたハルトの魔力量は確実に増えていた。


(先ずは隠密と気配遮断魔法をかけて、視覚強化と危険感知もかけて…

とりあえず戦闘は避けて状況確認を優先するか…  行くぞ!!)


ハルトは意を決して洞穴から歩み出る。

周りは薄暗いが、視覚強化のおかげでハッキリと見える。


(こうしてみると意外と生き物は少ないんだな…洞穴を出て20分くらい経つけど、まだ小型な生き物しか見当たらない…)


それから更に10分ほど歩いた時


(ー!? 来た!がビンビン反応してる! 早く隠れないとヤバいぞ!!!!)


ハルトは急いで岩の窪みに身を潜めた。

すると進行方向から何かが来た。

と言ったのは、ハルトは恐くて顔を上げる事が出来なかった為に姿を確認出来なかったからだ。


(ヤバ過ぎる!! 顔を上げた瞬間に殺される。頼む! そのまま通り過ぎてくれ…)


そのはハルトの横を静かに通り過ぎて行った。


(はぁ、はぁ……

なんだったんだ今のは… とんでもない化け物だぞ。やはり今の俺じゃあ迂闊に動けば死ぬな。恐らくレベルが足りないんだろう…

いくら魔法が使えても、レベルが低けりゃ意味がない。少しずつ魔物を倒してレベルを上げなくちゃダメだ…)


ハルトは暫く同じ場所で隠れた後、いつもの場所に戻った。


(はぁ、疲れた。たった1時間くらいだったのに、疲労感が半端ない。

不意打ちでも、卑怯でも何でもいいから魔物を倒してレベルを上げるぞ)


こうしてハルトのレベル上げの日々が始まった。




(もう此処に来てどれくらい経っただろうか?

少しずつ強くなってるとは思うけど、いまいち実感がない… 何度やっても、ステータスは見れないしな…)


ハルトは今まで幾度となく【ステータス】と唱えて来たが、一度も見れなかった。

この日もなんとなく【ステータス】を唱えた瞬間、激しい頭痛が起こる。

頭痛が治ると…


(キター! やっと見れる様になったぞ!)


ハルト/Lv.2

【称号】#&?&#

【HP】10/10

【MP】180/180

【腕力】8

【魔力】55

【防御】3

【敏捷】2

【知力】12

【スキル】 鋼の心


(うっ… わかってはいたけど弱々だな。称号の文字化けは異世界あるあるだとして、魔力だけが異常に高いのは寝る前のルーティンの効果かな? 後は焦らずに倒せそうな魔物でのレベル上げか…)


ハルトは洞穴から出て目的地を目指した。


(この辺りがいいかな?)


ハルトが目指した場所は洞穴から100㍍程離れた岩場だった。


(この辺りなら身も隠せるし、岩があって狭いから大型は入って来れないだろう。

後は… 慎重に見定めて一気に倒す!)


ハルトは少し開けた場所に土魔法で穴をあけて水魔法で水を貯めた。

其れから待つ事10分。例のトカゲが集まって来た。トカゲではレベルが上がらないのがわかっている為、静かに待つ。

すると、4㍍程の蛇が現れてトカゲを捕食し始めた。


(デカいな…いけるか? 確か蛇は寒さに弱い筈だから氷魔法で弱らせるとして、どうやってトドメを刺す?)


ハルトは『中級氷魔法ブリザード』を唱た。すると蛇の魔物は多少動きが鈍くなる。

すかさず『初級土魔法アースホール』で蛇の下に深さ5㍍の穴をあけて蛇を落とし、

初級水魔法ウォーター』で水を貯めて上から『中級土魔法アースロック』で岩を作り閉じ込めた。


(どうだ? 名付けて【溺れ死】 作戦!)


其れから待つ事30分。

急に身体が軽くなり、ハルトは慌ててステータスを開く。


(な、なんてこった… 爆上がりじゃねぇか!)


ハルト/Lv.25

【称号】#&?&#

【HP】160/160

【MP】880/880

【腕力】80

【魔力】420

【防御】55

【敏捷】36

【知力】300

【スキル】 鋼の心 


(レベルが23も上がったぞ。素のレベルが低かったからだろうけど、あの蛇が割と強かったんだろうな… 今頃になって震えてきたわ)


その日から毎日同じ方法で魔物を倒して着実にレベルを上げた。
















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