第2話 魔法
(此処はどこだ?)
気がつくと周りは薄暗く、ゴツゴツした岩場が広がっていた。
(どうなってる?
俺は鉄パイプの下敷きになって死ねた死ねたんじゃなかったのか?
何でこんな洞窟の様な場所に居るんだ?)
ハルトはやっと楽になれた筈だった。
それなのに気がつけば見知らぬ場所で、頭がパニックになっていた時…
「グルァァァア!!」
「な、なんだ!?」
異常なまでに大きな鳴き声が洞窟内に響き渡る。
(明らかにヤバい生き物いるだろ! こんな所にいたら喰われちまう!!
とりあえず、身を隠せる場所を探さないと…)
ハルトは近くにあった洞穴に駆け込んだ。
洞穴に身を潜めていると、目の前を大きな化け物が横ぎる。
(なんだあれは!? あんな生き物見た事がない…)
それはひとつ目で体長3㍍はある化け物だった。
(あんなのに見つかったら絶対殺される。死ぬのが怖いわけじゃないが、なぶり殺されるのはゴメンだ…
て言うか、アレはアニメ小説に出てくるサイクロプスじゃないのか? どう考えても地球にはあんなのいないだろう…
と言う事は… もしかして異世界転移したのか!?)
ハルトはアニメ小説に出てくる異世界転移に憧れていて、もし願いが叶ったなら次こそは頑張って生きようと思っていた。
(異世界転移だとして、思っていたのと違うな…
普通はどこぞの姫様が召喚して、勇者になるんじゃないのか?
今の場所は明らかに城ではないだろう…
しかも鏡がないから分からないが、間違いなく子供になってるぞ。)
この時ハルトは5歳児になっており、訳がわからず暫く沈黙が続いた…
(考えても仕方がない。折角異世界に来れたんだから、今度こそ無駄に生きない様にしないとな… 先ずはなんと言っても魔法だろう。
あんな化け物が居るんだから、必ず魔法もある筈だ。暫くはこの洞穴を拠点にして、魔法を特訓しよう…)
ハルトはあんな化け物には格闘技や剣では勝てないと考えた。
では何なら勝てるのか?と考えた時、魔法しかないと思った。
(先ずは定番の魔力操作をしながら、魔力量を増やそう。小説の通りなら、魔力を使い切る事を繰り返せば魔力量は増える筈だ。
魔力は心臓の近くにあって、血液に乗せて全身を移動させる…)
ハルトはアニメ小説の通りにやってみる。
すると、確かに心臓の近くに暖かい?ものを感じるが、血液に乗せて流すイメージをしても上手く行かない。
(難しい…
アニメ小説でも、出来る様になるまで時間がかかってたからな…
どうする?食料もないし、あまり時間はかけられないぞ。だからといって、このまま出歩いても直ぐに殺されるに決まってる。
恐らく、魔力操作をマスターしないと魔法は使えないだろう。やるしかないか…)
この世界には魔法にランクがあり、初級→中級→上級→帝王級→神級となっている。
問題は山積みだったが、魔法が使えない事には生き残れないのでハルトは必死に魔力操作を特訓した。
- 3日後 -
(な、なんとか手のひらに魔力を集める事が出来る様になった…
と、とりあえず水を……)
『
ハルトが魔法を唱えると、手のひらに直径20センチ程の水球が浮かび上がった。
ハルトはそれに顔を突っ込んで一心不乱に飲み干す。
「くぅぅー、美味い! これでなんとか生き延びられそうだ…」
(しかし、この転移に何の意味があるんだ?
4日目で死にそうになるなんて… どんな罰ゲームだよ。 まぁ、俺としてはやり直せるから感謝しかないけどな。 後はどうやって此処から脱出するかだが…
とりあえずは食料確保だ。 必ずしも化け物ばかりではないらしいし…)
ハルトは魔力操作をしながら洞穴から周りを観察していた時、小さいトカゲ?みたいな生き物も居る事が分かった。
(アレをどうやって捕まえるかだが…
こんな場所に居るんだから普通ではないよな。直接は危険だから罠にかけるか…)
ハルトは罠を考える。
(トカゲの大きさは20センチ程。ならば、穴を掘って落とすのが無難か…
ただ、長時間洞穴から出て作業するのは危険だから魔法でなんとかするしかない…
確か土魔法で穴を掘れる筈。直径1㍍で深さ2㍍位でやってみるか…)
ハルトは洞穴から前方5㍍の場所に穴を掘るイメージをして右手をかざす。
『
魔法を唱えるとイメージ通りに穴があいた。
次にその穴に深水1.5㍍位になる様に水を貯める。
(上手く行けば溺れてくれるかな。後はどうやって誘い込むかだが…
いや待てよ? この洞窟では水は貴重なんじゃないだろうか?
放っておいても勝手に落ちるかも?? すごく眠いし試しに1日待ってみよう…)
ハルトは魔法を使用した疲れで眠ってしまった。
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