第22話
光の板には今さっきカラミティーズによって殺された百人以上の侵入者達の名前や性別、年齢に職業が表示されていた。侵入者達は一人を除いて全員男で、唯一の女性の侵入者を見つけた熊翔は彼女の職業を見て首を傾げる。
「なぁ、レオーラ? パルコー? 戦姫って何だ?」
「えっ!? せ、戦姫ですか? それは、その……」
「戦姫というのは簡単に言えば軍隊に同行する娼婦ですわ」
熊翔に質問されたパルコーが顔を赤くしていると、その隣にいるレオーラが何でもないように答える。
「軍隊に同行する娼婦? そんなのいるのか?」
「ええ、いますわよ。彼女達は護身術程度ですが戦闘訓練を受けていて、そのことから『戦姫』と呼ばれているのです。戦姫は兵隊達の慰安用として十人近く雇われるのが普通なのですが、一人だけということは指揮官が個人的に雇った戦姫なのでしょうね」
レオーラの説明を聞いて熊翔は、昔の貴族で階級が上の軍人が専用の料理人や従者を連れていたという話を思い出す。するとレオーラは何かを思いついた顔となって熊翔に話しかける。
「そうですわ。ねぇ、旦那様? この戦姫、彼女だけ私達と同じフレッシュゴーレムにしませんか?」
「はぁ? いきなり何を言い出すんだよ?」
「私はレオーラ・リア・ルナライト。セブンシン王国でも由緒正しき名門、ルナライト家の令嬢。貴族の者がお供の一人も連れていないなど沽券に関わりますわ。だからこの戦姫をフレッシュゴーレムにして私のお供にしたいと思いまして」
『『………』』
熊翔に聞かれてレオーラは、ビキニアーマーで最低限隠された豊かな乳房を張って答える。すでに彼女の中ではこの戦姫がフレッシュゴーレムとなって自分のお供になることが決定しており、自分もフレッシュゴーレムなのに上から目線で話すレオーラに、熊翔もパルコーも呆れるのを通り越して感心するのだった。
「あー……、レオーラ? ……いや、何でもない」
正直な話、これ以上余計な同居人が増えるのは避けたい熊翔だったが、こうなったレオーラが絶対に譲らないのをこの短い付き合いで十分すぎるほど知った彼は、早々に説得するのを諦めた。
「それじゃあ、この戦姫をフレッシュゴーレムにして甦らせるってことでいいんだな?」
「ええ、お願いします」
レオーラが頷いたのを見て熊翔は、彼女とパルコーをフレッシュゴーレムにして甦らせた時と同じように、意識を集中してダンジョンに命令を送る。
すると次の瞬間、艶やかな黒髪を長く伸ばした褐色の肌の女性が、熊翔達の前に一糸纏わぬ裸の姿で現れたのだった。
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