驚き、慄き、21世紀

 放課後のバイト。


 いつも通りのダンディズムな雰囲気と静けさに包まれた喫茶店で、俺はのんびりとした時を過ごしていた。


 慣れた仕事、常連客の皆様ーーその場、その場を意識してこなせば間違える事も無い。


 何もかもが、いつも通りの日常。今日も俺はこうして一日を終えるのだろう。


「いらっしゃいまーー「ここが皇雅のバイト先何だよ。小洒落た店だろ?」


「本当ね。それにチェーンとかじゃない所がらしいっちゃ、らしいわね」


 小洒落た雰囲気に合わせた格好で現れた怜哉と茉凛。当然、来るなんて話は一言も聞いていない。


「怜哉。来るなら来るとーー「明兄っ!皇雅の事、知ってたの!?マジヤバイ!!」


「ハハハ!知ってるも何も!実家に帰った時に何時も話してたバイト先の子だよ!まさか、のどかとお友達とはねっ!」


 …何だ?この状況は?


 俺は言葉を失った。怜哉達を見た瞬間、何となく、のどかさんは居そうだと思っていた。しかし、明俊様は予想外過ぎるーーというか、やはり、兄妹だったのか…。


 こうして並ばれると髪色含め、似通っている所が多々あった。そして、その似通った顔で"お友達"を強調されながら全く笑ってない目で、笑われると悪寒がするというものだ。


「…四名様でよろしいですか?カウンター席での御案内になりますが」


「ああ、構わないよ!まあ、妹やそのお友達には偶々会ったんだけどね?詳しく話を聞きたいからね?」


「そうですか…ハハハ」


 そんな偶然があるのか…と思わず乾いた笑みが溢れる。というか、こちらから話すことなど何もないのだが、詳しくと言われてもーー。


「皇雅!仕事が早く終わったから珈琲飲みに来たわよ!…あら?どうしたの?その顔?」


 どうしたも糞もない。何故、友達やその兄(常連客)が偶々訪れた日に母親まで現れるのだろう。


 俺は最大限に困った表情でマスターを見た。


「…やはり、現実は小説より奇なりだね」


 苦笑しながらお決まりの言葉を漏らす、マスターだった。

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