尽きることのない悩みの日々7
「oh…なるほどね。アンタはそう考えている訳ね…i see.確かにアンタの考えだとそうなるかもだけど…」
俺の答えを聞いた彼女は暫しポカーンと呆けた表情を見せていたが、どこか洋画チックなアンニュイな表情を見せた後、人差し指でこめかみを押えながらーー。
「とりあえず、アンタの考えはよく解ったから置いとくとして…のどかはそう思ってないのよ。こういうのって相手がどう思ってるかより本人がどう思っているかが大事でしょ?だから、のどか的には学力だけでも追いついて安心したいって話。これなら納得?」
「ああ。まあ、確かにこういうのは相手がどう思うかより、自分が納得するかどうかだと言われれば、そうとしか言えないな」
自分に置き換えてみればとても解りやすい話だ。勉強、スポーツ、バイト、そういった事をそつなくこなせる俺だが、その事に価値を感じるかと言われれば、そうではない。周りからすれば素晴らしい事でも、本人がそこに感じなければ大した価値はない。
「大体さ。秋月って、いつも眉間に皺を寄せて怖い顔してるから解んなかったけどさ。顔も結構イケてるじゃん?身長も平均よりは高いし。女子から見たら割と優良物件だと思うのよ」
「…俺がか?それは流石にないだろう」
大きな病気をして一生通院が必要な上に、自分が何をするのが良いのかも解らない程度の人間だ。そもそもーー。
「俺の容姿が良いと思うなんて、茉凛は変わっているなぁ。確かに均等は取れているがパーツは平凡そのもののだぞ?今まで容姿を褒められたことなんて一度も無いぞ?」
自分の顔を鏡で見ても、もう少し母親に似れば容姿くらいは自慢出来ただろうに…と思うくらいだ。実際、これまでの人生でカッコいいなんて言われた事など一度もない。故に茉凛の趣味が変わっているのだと思った。
「…秋月。アンタ、それ本気で言ってんの?」
「ああ。本気も何も…現に高校に入ってからだって女子に何か言われたことは一度もない。俺自身、鏡を見てたって黒い髪に平均的なパーツがついてるなくらいにしか思わないしな」
「平均的って…そういえば何かの本で平均的なパーツが均等についている顔が最も美しいって書いてあったっけ…てか、女子が何も言わないのは何時も怖い顔してるからだし…」
頭が痛くなってきたと言わんばかりに頭を抱えながら、何やらをぶつくさと呟く彼女を俺は首を傾げながら見詰める。俺は何か変なことを言ったのだろうかーー。
「大丈夫か?頭が痛いなら今日はこのくらいでーー」
「wait,wait,wait...OK.大丈夫。理解した。この際、釣り合い云々の話は頭の片隅で良いわ。秋月、アンタはとりあえず、のどかが学力的に肩を並べたいと思っていることを理解して、それを叶えるために全力でサポートに徹することだけを考えて行動すればいいわ。do you understand?」
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