尽きることのない悩みの日々6
「ーーで、アンタは答えが解んないから私を頼る事にしたわけ?」
「ああ。そういうことだ」
少し呆れた表情で、俺が奢った少しお高いキャラメルマキアートに口を付けた茉凛。
結局、千通りの方程式を無駄にした俺は自分では解き明かす事は不可能と判断し、早々に彼女の考えが解りそうな人物に頼る事にした。
「ふ〜ん。まあ良いけど。ここのキャラメルマキアートを奢って貰った訳だし」
「相談料だからな。そのくらいはするさ。それで茉凛さんはどう思ったんだ?」
「どう思ったも何も別に対して難しい話じゃないでしょ?のどか的には、アンタと同じくらいの学力になりたいってことでしょ?」
確かにそれはあるだろう。彼女の言葉を振り返れば、俺の学力に近付きたいような話をしていた。
「確かにそれはあるだろうが…何故、そんな目標を立てたのかがまるで解らない。まあ、彼女ならば、何れは達成出来るだろうが…」
俺は彼女の努力家であるところを高く評価している。故に俺が適切な勉強方法をアドバイスしながら勉強を続ければ、そう遠くない未来にそれなりの学力になることは出来ると思う。
だが、あそこまでムッとするくらい怒る必要があるほど、早く近づける必要があるのだろうか?
「はぁ…。目標って…。アンタ、そういうところは頭回んないのねぇ…」
やはり、解らんと頭を抱えている俺に対して彼女はあからさまに呆れた様子で大きなため息を漏らした。
「人によってはそんな事で?って思うかもしれないけどさぁ。あの子は何かの実力でアンタと肩並べたいのよ。それでそうなった時にしたいことがあるんでしょ?まっ、それを私の口から言うのは野暮だから言わないけどさ。なるべく早く、そうなりたいって考えてた時にゴールが離れたらガッカリするでしょ?」
茉凛の言うことは非常に理に適っていた。のどかさんが、俺の学力をゴールにしたい事があるならば、俺の学力が上がることでゴールが離れてガッカリしてしまう気持ちはあるだろう。
「なるほど。だが、そう考えると余計に可笑しな話だな」
「…何が?」
「そもそもだ。何かの実力で肩を並べたいと考えているならば、態々学力で頑張る必要がないだろう?」
「…どういうことよ?」
あからさまに怪訝な表情に変わった茉凛の心情はよく解らないものの、俺は思うのだ。要はのどかさんは何らかの形で俺との釣り合いを求めているということだ。ならばーー。
「どういうことも何も…要は俺との釣り合いを考えているのだろう?ならば、彼女の場合、性格、容姿、人間性で既に釣り合いが取れている。寧ろ、お釣りが出ても良いくらいだ。だから、頑張る必要がないではないか?」
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