頭痛9割、友人1割、大和さんプライスレス4
「…遅くなって悪かった。ご希望のソフトクリームだ」
「ありがとう♪って、わぁ!!めっちゃ綺麗にデコってある!マジヤバい!ウケる!」
とりあえず、溢れ出した喜びを押さえることの出来た俺は、我ながら中々の代物に仕上げることが出来たソフトクリームを大和さんへと差し出した。
大喜びの大和さん。早速スマホを撮り出すとあらゆる確度からパシャリ始める。
「綺麗に加工してアップしよ〜と♪」
そして、一頻り画像を撮り終わって満足した彼女は、ソフトクリームを口に入れた瞬間、満面の笑みを見せた。
「ん〜♪美味しい〜♪」
「期待に添えたならば良かった」
胸元のそれを除けば、非常に可愛らしい見た目の彼女がにま〜と笑う姿を見ていると、俺の表情も思わず綻んでしまう。
「秋月ってあんな顔もするんだね…私、てっきり、のどかの片思いだって思ってたけど…」
「ひょっとして、ひょっとするかも知んねぇなぁ。俺も初めてみたわ。あんな顔…」
何やらコソコソと話す二人の姿なんて視界の隅にも入っちゃいない。俺の視線は疎か、五感の全てが大和さんで埋まっていると言っても過言ではなかった。
「えっと…そんなに見詰められると、ちょっと恥ずかしいかなって♪」
「あ、いや、そ、そうだな。わ、悪かった」
仄かに色付いた頬ーー。上目遣いで見詰められ、俺は慌てて視線を逸らした。
「…えへへ」
「…あ、あはは」
微かに視線を戻せば、再度視線が合って頭を掻く。何だか妙に照れ臭い気持ちにーー。
「…誰だコイツ?」
「…アンタの友達の秋月皇雅でしょ?知らないけど。因みにのどかは何時もこんな感じだから」
二人の呆れた声にハッとした俺は、咳払いを一つ吐いてお茶を濁した。
「それにしても、まさか、大和さんが来るとは…ミスった…」
「ええ〜!良いじゃん!寝間着スタイル!何か可愛いし〜♪」
「それなら良いーーいや、良くないな」
上下ジャージにセットしなかった髪。
チラッと言っていたが、盛り上がって何処かに行こう、という話になっても、この恰好では行ける場所が限られてしまう。
というか、それ以前に彼女が来るという話ならば、別にサプライズされなくても大喜びで来たのだがーー。
恨みがましい視線を怜哉に送れば「そんな感じだとは思わなかったんだよ。悪かったって」とヘラヘラ笑いながら手を合わせた。
「…どんな感じ何だか。まあ、折角来てもらって悪いんだが、俺がこんな格好だからなぁ…今日はファミレスで話すぐらいにして遊ぶのはーー」
「はいはいはい!私!実は行きたい所がありま〜す!」
俺の言葉を遮りながら元気に手を上げる大和さん。困惑する俺や怜哉達なんて何のその、ニカッとした輝かんばかりの笑顔を浮かべると、こう言うのだった。
「あんまり服装とか気にしないで行けるところなんだ♪それで私が行きたい所なんだけどーー」
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