頭痛9割、友人1割、大和さんプライスレス2
俺の父親は借金を作る上に浮気もする、どうしようもない男だった。最終的には破産して離婚したのだが、割と直ぐに新しい家族を作って連絡も取れなくなった。
そういう経緯もあって、女性関係にだらしないという性分に対しては一定の嫌悪感があった。
特に俺は白黒をつけたがる性格をしていた事もあり、父親とは口論になることも多く、口で勝つと暴力で返されたので余計に嫌いになった。
最近は割と経験豊富な男性の方がモテる傾向にある為、俺は世間と逆行していると言っても過言ではない。
そもそもだが、高IQの人間というのは恋愛に関して積極性に乏しいという研究結果出ている。それは誠実とかそういう話では無く、恋愛というものをより社会的、科学的に捉えているからだ。
例えば、気持ちが浮ついた時、それが明るみになった時のリスクを考える。そして、今の恋人との関係がどうなるのかを想像する。結果、浮気をすることによって失うことの方が多いと思えば踏み止まる。
そして、科学的というのはメカニズムの話だ。胸を高鳴らせるホルモンが出ると人は恋に落ちる訳だが、これは長くて2年だ。しかし、何らかの形で胸が高鳴れば、別に同じ相手でも半永久的に継続出来るものである。
焚き火に例えるならば、新しい薪に変えるか、薪を加えるかだけの話であり、穏やかな恋愛を好む傾向も相成って、結果的には誠実とも言える。
「ーー皇雅。着いたぜ?とりあえず、奥の席に座るぞ?」
「ああ。悪いな。思考に没頭していた」
「何時ものことだろ?構いやしねぇよ」
怜哉に誘導されるように着いていくと、四人席であるにも関わらず、横並びに座らせられる。明らな意図的を感じる席順に、嫌な予感がした俺は怜哉を睨んだ。
「誰か来るのか?」
「まあ、解るわな。最初に言った通り、大した話じゃねぇよ。簡単に言うと俺の女友達のダチがお前に会いたいんだとさ」
「…割と大した話だろ?それ」
全く悪びれた様子のない怜哉に呆れる。
そして、席順のせいか、こちらを変な目で見るウエイトレスからアイスコーヒーを受け取ると俺は溜め息を吐いた。
「前もって聞いてたら、もう少しマシな格好で来たぞ?どうすんだよ、この寝間着スタイル…」
「まっ、別に良いんじゃね?今、連絡入れたら、上下ジャージとかウケる!とか言って隣で笑ってるって返信着たぜ?まっ、サプライズかましたってフォロー入れとくから心配すんなって」
「…お前なぁ」
呆れて物が言えないと閉口する俺の横で、怜哉は半笑いでスマホを弄っている。ここまで、反省の色がないと寧ろ清々しいとさえ感じてしまう。
「もう少し掛かるってよ」
「わかった。とりあえず飯でも食っとくか」
何を言っても響かなさそうな怜哉は放っておいて、俺は軽食を頼んで時間を潰す事にした。
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