第1楽章 Andante 歩くように20

「ありがとう。

ユウの本当の気持ちなら、もちろん従うつもりだよ。

でも、なんでそう思ったのか何か理由があったのか、

ユウに悩みがあるんだとしたら僕にも何かできるかもしれない。

だから、もしユウが大丈夫なら教えてくれないかな。」


仕事が終わった後だった。

電車の中で、絵文字のついたあの優しい声で再生された時、

こんな素敵で優しい人に気を遣わせて、なんて申し訳ないんだろう、

なんて自分は愚かなのだろう。


わああああああああああああああっと心の中で叫びながら涙が流れる。

呼吸が荒くなる前に早く家に帰りたい。

こんなところを他人に見られているのが辛い。


私は、先輩の約束を無視して最後にこう送ってからブロックすることにした。

なぜなら、今度こそ返事を読んでしまえば同時並行しそうな勢いだったからだ。

こんな辛いなら同時に付き合っちゃえばいいんじゃないか、とか思いそうだったから。でも、それはさすがに違う、違いすぎる。というか、自分に都合が良すぎる。


「本当に大好きでした。

私のせいで本当にごめんなさい。

いい人に出会えるように祈ってます。

体に気をつけてね。」


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