第1楽章 Andante 歩くように16

この状況がどういう意味か。

そもそも異性の部屋に、そんなにすぐに行ってはいけないものだ。何故なら、襲われるかもしれないだろ?


じゃぁなんでこうなっているかって?

こんなだっさい服きた自分が襲われたこともない、襲われるなんて思っていないからだよ。


話を戻そう。


ベッドに2人が並んでいる。

もうこれは、セックスしますよ〜と宣言されているようなものだ。


ところがどっこい。

生粋のオタクで陰キャの自分は、そんなことをこれっぽっちも思っていなかった。

そして、話しかける。

「夜景も見れたから、帰ろうかな。今日はありがとうございます。嬉しかったです。」


こうじさんは、内心どう思っていたんだろうな。

逃すまいとしていたのだろうか。

「まだ話していよう。ね?」と、私の手に、手を重ねてきた。


「はぁ...」と、連れてきてもらって何だが、夜景を見終えたのに何故とどまる必要があるのかわからなかったが、見つめられて、見つめ返しているとこうじさんの手が、なんと、ブラウスのボタンをひとつ、またひとつ外してきていた。


流石に、

流石に、

流石に。


流石に、ここまでくれば、気づいた!!!!

この鈍感野郎でも気づきました。


あ、これ、

幻のセックスが始まるのか?!


私は、望む望まず何一つ決められないまま、身を任せてしまう。反射的に自分の手がボタンを外す手を遮っていた。

「大丈夫だよ。不安にならなくていいよ。大丈夫」


優しい声で囁かれる。


いや、何が大丈夫やねん!!!(何故関西風)


え?え?


ひとつ、ふたつ、と外されていくボタン。


私は、思った。

いや、もう逆にしてもらおうよ、大丈夫、きっと。

(なにがだよ)


そうして、私はこうじさんのボタンを外しにかかった。


されるがまま、ズボンも脱がされていった。

初めて他人に触られた自分の体。

今までに感じたことのない感覚。


こんな光景、今まで何度と映画やドラマ、漫画で見てきたことだろう。

でも、こういう感じだったんだな。


乳房を触られる度、快感が全身を突き抜けた。

キスもさっきより上手くできている。


ただ、問題はその後だった。


下半身を触られている。

何か突っ込もうとしている・・・。


残念ながら、私は自分自身を喜ばせることすらしてきていなかった。いわゆるセルフプレジャーである。

なので、全く何も入れてきていない。なんなら浣腸すらやったことない。関係ないが。

全くの動揺である。何しているんだと。


「え?」

と、精一杯動揺の声を出すが、


「大丈夫だよ。力を抜いてね。」


といわれ、力を抜くとは?何をしたいんだ?!

パニックである。


男性器が見えた時、あ、どこかに突っ込むのか。そういえば、そうだよな、、、。でも私のどこに突っ込まれるのか、知識として覚えていない・・・。あ、コンドームって多分必要だよな。


「コンドームはつけてください、、、」

「わかったよ。」


少し安堵したのも束の間。


「Y、もしかして初めて?」

「うん。初めてです。」

「そっか、俺3人くらい処女の女の子がいたから優しくできるよ。大丈夫だよ」


自分はこの怖さや知識のなさからくる動揺を、こうじさんにつたえるのが何故か恥ずかしい気持ちで、色々と自分を隠しながらいた。


そうこうして、何かが突っ込まれようとしていた。

その刹那。

まるで針金をさされているような、いや、もっと太い何かを刺されているような、とにかくエグすぎるくらい痛くて痛くてたまらない。いや、まって、セックスってこんなに痛いの!?無理だよ、いや、痛い・・・


「痛い・・・」


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