「異なる世界へ!」

「異世界と異界って何が違うんだろう」


 いきなり何か言い始めた。

 まぁこいつが急に話題を変えるのは何時もの事だ。


「その心は?」

「いやさ、最近異世界ファンタジーって人気じゃん?」

「まぁ昔からな」

「でさ、異界って言葉もあるじゃん」

「そうだな」

「何が違うだろうってな」


 そのまんまかよ。

 どうしてかの着眼点を解説しろよ。


「違う世界ってだけなら、一つの用語で良いはずじゃん?」

「そうね」

「わざわざ使い分けているという事は、違いがあるよな」

「なるほど」


 ぽちぽちと携帯を弄る。

 開いたのはWIKIだ。


「異界しかねーな。異世界って小説ジャンルであって、言葉としてはないのか」

「まじかよ」


「異界。人類学や民俗学での用語。疎遠で不気味な世界のこと。亡霊や鬼が生きる世界」

「不気味! 確かに異界って言うとホラー系なイメージ」


 言われてみれば、確かに異界ってチョイスはホラー系に多い気がする。

 いや、ホラーというか。現実と地続きな展開はそっちな気がする。


「解決した?」

「おっけー、つまりここは異界だな」


 納得したらしい。

 確かに異世界ファンタジーというより、そっちかもしれない。

 でもまぁ、違うんだわ。


「残念ながらここは霊界な。死んだの俺ら」

「まじかよ」


 確認した途端、手元の携帯が消えた。

 霊界なら仕方ないけど。


 でも、どうしてまたこいつと一緒なんだ?

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