「同志」

 2月22日、にゃんにゃんにゃんな猫の日。

 僕はその日キャンペーンが行われる猫カフェを巡っていた。


 特に今年は2022年だ。

 その立ち並ぶにゃんにゃんにゃんに、心躍らぬはずがない。


 各店舗も世紀のにゃんにゃんにゃんをわかっている。


 この機に更なる客。

 いや、更なる同志を集うため割引や猫ちゃん祭を企画しているのだ。


 そう、猫ちゃん祭だ。

 誰にも止められはしない。


 普段から猫好きの僕は猫カフェ巡りのタイムスケジュールをばっちり組んである。

 当然、毛並のケアや不衛生な猫カフェにお金を振りまく余裕はなかった。


 そういう所は役所に電話一本。

 出来る事が少ないのは口惜しいが、直接抗議してもただの客。


 おっと。

 今日は世紀のにゃんにゃんデー。

 余計な事を考えている暇はないのだ。


 どの店舗も素晴らしい。

 A店のミィちゃんは毛がふわふわで魅惑のブラッシングタイム。


 B店のクロは艶やかな黒猫で、チュ〇ルですら気をひく事が出来ないクールっぷり。

 そのクロの特別撮影会。

 媚びないあの子を存分に撮影出来た。


 C店では子梟とタマの厳選上映会。

 珠玉の映像が編集され、実物の横でループしている。


 悩ましい。

 D店では抱っこ大会が行われるが、果たしてそれは猫ちゃん達にとって良い事なのか。

 そう自問してしまえば前には進めない。


 過度のスキンシップはいくらにゃんにゃんデーでも。

 猫ちゃんの尊厳と自由を我々は眺め、お世話させて頂くだけで十分なのでは。


 はっと顔をあげれば、何やらメモを手に同じように悩んでいる人と目が合った。

 首を振り、踵を返すその人。


 ああ、そうだ。

 我々は世紀のにゃんにゃんデーに、心から楽しめないにゃんにゃんを過ごすわけにはいかない。


 僕も笑ってD店に背を向けた。

 いざ、次の店へ。

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