「苦いのは嫌です」
今、私は立ち向かっています。
時には、嫌いなものにも向き合わないといけない事があります。
今がその時です。
薬です。
苦くて憎い奴です。
粉です。喉に貼り付いてじわりと苦くなる奴です。
どうしてこんなものを飲まないといけないのか。
私はママに抗議しました。
具体的には机をどんと叩いて泣きました。
叫びました。
でも、この想いは届かなかったようです。
それも悲しいです。
これから苦い薬を飲まないといけない事より悲しいかもしれません。
ママがどこかへ行きました。
見守ってもくれないようです。
今がチャンスです。
私は立ち上がりました。
もう掴まらなくても立てます。
ちょっとふらつきますが、大きな進歩です。
何故なら、空いた手で憎き薬を握り込めるからです。
ポイッ!
やりました。
私は勝ったのです。
こうして奴は居なくなりました。
ふんすと鼻息を荒げて座ります。
勝利の盃です。
お水の入ったコップを両手で抱えて傾けます。
まだ持ち上げて飲めないので、そこに口をつけます。
ママが帰ってきました。
やりましたよママ。
ママ?
ママ!?
痛いですママ。顎を引っ張らないで。
まさかそれは、新しい粉の袋。
嫌です! やめてください!!
ママー!!!
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