第8話 クリスマスの苦い思い出

 いつからクリスマスという文化が発達したのか知らないが、70年代の子ども会のクリスマスパーティーでは、強制的に歌や寸劇をやらされていたから、日本に輸入されたのもずいぶん昔の話なのだろう。


 朝起きると、自分の欲しかったプレゼントと長靴に入ったお菓子が置いてあるのが、クリスマスにおける我が家のお決まりだった。


 だが、小学三年生のクリスマスの前日、父が妙に改まった様子で私と姉に告げた。


「えー、お前たちもうすうす分かっていると思うが、サンタはお父さんだ」

 

 ……衝撃の告白だった。

 もう三年生だし、さすがにいないんだろうなぁとは思っていた。

 思っていたけど、真実を突きつけられてショックを受けている自分がいた。


 だって、去年まで寝て起きたら足元にプレゼントが置いてあったし、父も母も姉もサンタさんがいるで話してたのに!


「今年からはお金で渡します」

 

 父の宣言に、姉は分かったと普通に返事をした。私も「もちろん知ってたし」みたいなことを言ってお金を受け取り、みんなで笑った。


 ちょっぴり苦いクリスマスの思い出だ。

 

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