第7話 ドリフターズがやってきた
私が住んでいたのは、八幡製鉄所が栄えていた頃の北九州の八幡というところだ。
そこでは毎年、
祭りにはいつも親戚のテキ屋のおいちゃんがいて、一番いい場所に出店していた。親から聞いたところ、テキ屋の親玉だったようだ。
私と姉は、毎回おいちゃんからタダで屋台のものを貰えるのを楽しみにしていた。それは
テキ屋というと誤解する人もいるが、少なくともここではバックに危ない人がついているわけではない。おいちゃん達は、祭りがあれば全国各地に飛んでいく、まさにフーテンの寅さんのような存在だったのだ。
ある時、起業祭にドリフターズがやってきた。
抽選で当たったのか、おいちゃんのおかげなのか定かではないが、家族全員で「8時だよ全員集合」のステージを観に行った。
なにしろ天下のドリフだ。これは今だに私の自慢トップ3に入る。「後ろ、後ろ─!」と本人達に叫んだ人はそうはいまい。
私と姉は加藤茶が好きだった。志村けんは加入したばかりで、まだアンチの方が多かった頃だ。確か、リンリンランランや麻丘めぐみもいたはずだ。目の前でアイドルが歌っているのが夢のようだった。
地方の小さな公会堂だ。テレビで見るような豪華なセットは組めない。
「チャンチャンカ、チャンカチャーン」と音楽に合わせて、ぐるりと舞台セットが廻るのを観てみたかったが贅沢は言えまい
当時、PTAにけちょんけちょんに攻撃されている番組だったが、単純に面白かった。教育に良くないと言われても、家族みんなで笑える最高の番組だった。
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