第4話 パチンコ屋

 父はギャンブル全般が好きだった。パチンコ、麻雀、競艇、どれもかかさず遊んでいた。

 そもそも家の目の前がパチンコ屋なのだ。

 小さな店で、父は「あんまり出ない」と文句を言いつつ、暇があれば通っていた。


 なかなか帰って来ないとき、母は私を迎えに行かせた。「父ちゃん、早く帰ろうよ」と子供に言われて、多少はいたたまれない気持ちになるのを期待したのだろう。


 しかし図太い父はいつも「これで遊んでて」と私にパチンコの玉をいくつか握らせる。

 きらきら光る銀の玉を持った私は、適当な台に玉を入れ、かしゃんかしゃんとレバーを弾いた。(昔のパチンコ台は今のようなダイヤル式ではなかった)

 玉はすぐになくなってしまうので、次は台の下に落ちている玉を拾って、かしゃんかしゃんする。

 力加減が大事なのだと父が言っていたので、子供ながらに考えて打っていた。


 本当はいけない行為だったと思うが、店の人は知らん顔して遊ばせてくれていた。常連だから、いや、いいカモだったからかもしれない。

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