6 学校に着いたはいいが……
「
「放せっ、おまえにンなこと言われる筋合いはないっ」
「朝からそんな巨乳美少女を連れて」
「その発言はレイナに対するセクハラだと思わんのか、智也」
「うっ、ごめんよぉおおレイナちゃんっていうんだねぇえ!!」
学校に着くなりクラス中から遠巻きにひそひそ言われるわ、親友には胸倉つかまれて絡まれるわ、もうむちゃくちゃだ。
オレの平和な朝の登校風景はどこへいったのだろう……。
「よろしくお願いします。ハルの婚約者のレイナです♡」
「婚約者かあいいねえ萌え設定だねえ……っておまえなんか厨二病っぽい物がポケットからはみ出してるけどだいじょぶ?」
どっちにもツッコミたいと思っていたところ逆にツッコまれて見れば、制服のポケットもといアイテム収納からクサナギの柄がはみだしている。
「うわああっ」
あわてて柄をポケットに押し込んでいると、後ろからぱこんと軽い衝撃が。
「はい、席についてー」
担任が出席簿を持って立っていた。
「ああ、無事登校できたね。昨日も言ったが、転入生だ。嵐堂、紹介しろ」
オレは担任の言ったことが理解できずフリーズ。
「何固まっているんだ。早くみんなに紹介してあげなさい」
「あー、先生。それって、オレのことじゃないっすよね」
「つまらん冗談言ってないで早くしなさい」
担任の視線。クラスメイトの視線。
それらはすべて、オレの隣のレイナに向いているわけで。
「ええと、こちらレイナ、です……?」
なんて言えばいいのかわからん!!
しかしカタコトの日本語みたいなオレの言葉にクラス中が騒然となった。
「うおおおお! レイナ! レイナちゃんだって!!」
「めっちゃ可愛くない?」
「ぜんぜん似てねー!」
昨日言ったとか転入生とか似てねーとか。
オレだけ話についていってないけど、予感はする。
「嵐堂から紹介があったように、そちらは嵐堂レイナ君」
やっぱり……。
「嵐堂の親戚だそうだ」
そういう設定なのね……。
「御両親の仕事の都合で嵐堂の家にしばらく滞在することになっている」
なんだとぉおおおお!!!
「先生っ、レイナがオレの家にくるとか聞いてません!!」
「私に言われてもなあ」
担任はびっくりした顔をしている。クラスメイトも。
そりゃそうか。
たぶん時空が歪んだか何かで、なんかオレの知らないところで都合よく世界の辻褄が合ってしまっているんだろうから。
もうここまでくるとそんな理不尽もアッサリ信じられる。
「こほん、まあ、いろいろとご事情があるのかもしれんから、帰ってから御両親とよく話なさい。それではみんな、レイナ君と仲良くしてあげるように」
担任は的外れな気遣いをオレに向け、お決まりのセリフを言った。
「はーい」
クラス中がお行儀よく返事をしてホームルームは終わる。
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