3 オレの制服のポケットがアイテム収納らしい。
「わたしは聖女レイナ。勇者に選ばれた貴方をサポートします。よろしくね♡」
「よろしくね♡ じゃねえよ! あんた誰! てか何人?!」
二次元では銀髪碧眼は美少女のお約束だが、現実に見ると国籍がわからなすぎて逆に怖い。しかも我が学校のブレザー着てるくせに聖女とか言ってるし。
「……うっさいわね」
あれ聖女が何か呟いた? そんでなんだかキレイな顔に極道のような凄味が??
「ごちゃごちゃ言ってないで早く剣しまって!!」
「は?! なんでオレが?! てかこんなモノどうやってしまうんだよ!!」
「名前つけて!」
「は?」
「名前! 剣に名前つけないと収納不可能よ! それとも
なんでオレがこのオネエしゃべりの剣に名付けなきゃならんのか聖女はなんでオレの名前を知ってるのかとかいろいろと疑問はあるがそれよりもなによりも聖女の距離が近すぎて鼻の先にすんごい綺麗に整った顔があって何かいい匂いとかするのに耐えられなくなったオレは、
「ク……クサナギ!!」
思わず叫んだ。
オレが『エデンの砦』で使っていた愛剣の名を。
『きゃっほーう! あたしは今日からクサナギね~!!』
クサナギね~ クサナギね~ クサナギ…………
オネエしゃべりがエコーして消えて行く。光の尾を引いて。
――オレの制服のポケットに。
「はああああ?!」
オレはあわてて制服のポケットに手をつっこんで瞬時に出した。
「なんでオレのポケットが冷蔵庫に?!」
交通系ICカードの入った定期入れとスマホがつっこんであるはずのポケットの中は冷蔵庫みたいに冷えていた。
そして中は――無だ。
そうとしか言いようがない。冷気漂う無の空間がポケットの中に広がっている。
四次元ポケット?
オレドラえもんかよ。でもぜんぜんうれしくない。
「れいぞうこ? なにそれ? そこはアイテム収納でしょ? 頭だいじょうぶ?」
聖女が眉をひそめた。
おまえこそ頭だいじょうぶかよ。
てか、アイテム収納?
ゲーム? 『エデンの砦』の世界観か?
だよな。だってバルバドス言ってたし剣もあるし聖女レイナもいる。
じゃ、あれか。小説とかでよくある、ゲームの世界に転生とか異世界なんちゃらみたいに、左手をさっと振り上げれば『エデンの砦』のステータスウィンドウがヴン、とか出てきて――
「って出てこねえ!!」
「アイテムは欲しい時に欲しいアイテムの名前を唱えるのよ」
マジでドラえもん形式じゃねえか。まったくカッコよくない。
「もうっ、そんなこと後でいいからとにかく学校に行くわよ! 遅刻しちゃうじゃない!」
オイコラ誰のせいで遅刻しそうになってると思ってるんだ!!!
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