第21話
ソールは巨大なドラゴンと向き合っていた。
たくっ、相手方の連中は切り札を出してきやがった。
やはり強豪校の連中だ。合体技も使えたか。
だが俺たちだってこのまま負けるつもりはない。
ソールはメル、ベナルとそしてセオ、順番に仲間達を見渡す。
誰もが決意したようにうなずいた。
そちらがその気なら俺たちにだって考えはある。
「こっちもやるぞ!」
と思わず声を上げた。瞬時にチームメイトたちが集まり、一同に瞳を閉じる。
集中するためだ。腕に体にマギアの力が巡っていく。
体中に赤いオーラが纏われていく。
それは他のメンバーも同じだ。
それぞれの得意とするマギアの色の神秘力がまじりあっていく。
そして彼らを飲み込み出現したのは虹色に輝くペガサスだ。イメージの原型を作ったのはリーダーであるベナルだ。見た目によらずロマンチストだなとソールは思った。
向い合うペガサスとドラゴンは互いをにらみ合う。
こうした派手なパフォーマンスもBBの醍醐味の一つだ。
ソールは楽しんでいた。ワクワクしている。
このまま逃げ切れればハルモニア…俺たちの勝ちだ。
「ウオオオオ~!」
気合を入れるかのように声を張り上げ、走り出す。ペガサスとドラゴンは激しくぶつかり合い、両者一歩も譲らない。ただ勝利だけを目標にしていた。
アイツもこの試合をどこかで見ているはずだ。
ソールはいっそう力を入れる
火花が散る中、突然二つの巨体に突っ込んだ何かがいた。
「なんだ!?」
ソールは思わず口走るが、理解できずにその場で立ち止まる。
その瞬間、ペガサスは一瞬のうちに消え去った。
だが、謎の人影の登場で相手方の選手は動揺していた。
その精神が影響したのか生み出されたドラゴンは頭だけを残して崩れ去る。
しかし、問題はその残された頭部だ。バランスを崩したドラゴンはエネルギー形態のまま、客席に突っ込んでいく!
「逃げろ!」
ソールは声を張り上げた!だがその声は悲鳴が上がる会場内では意味をなさない。
ただ落ちていくドラゴンの頭部を見守るしかなかった。
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