第3話 初めて出会う冒険者1



「お帰り。 みんなに連絡するわね」


返事をしたのは女性。

歳の頃は20代後半かな? 紺色のショートヘアの綺麗な人だった。


数秒目を閉じたあとにこちらに目線をよこしニコッと微笑まれた。


「はい、連絡完了したわ。 時期に戻ってくると思うから……お湯もあるしちょっと休もうか? 疲れたでしょう」


女性は土の上に敷かれた布に腰を下ろし隣をポンポンと叩いた。


「じゃあクイナに任せるか。 この時間だったら今から帰れば余裕で閉門までに帰れるな。 俺は帰る準備しておくよ」


女性の言葉に甘えて隣に腰を降ろした。 ……が、この女性凄く見てくる。

口を開いては何か言おうとし閉じ何か言おうととしては閉じを繰り返してる。


「えっと…私橋沼桜と言います。 お名前聞いても良いですか?」


なんともいたたまれない空気になったので私の方から話しかけてみた。


「……! あぁそうね……先ずは自己紹介よね! 私はクイナ。 そこのハンスと他のメンバーとパーティ組んでる冒険者よ。 よろしくね桜さん」


照れたように早口で自己紹介をしてくれた。


「よろしくお願いします。」


「ね、ねぇ桜さん……」


「どうしましたか?」


なにやらさっきから恥ずかしそうにしている。

何?! 気になるんだけど!!


「な……何か食べ物持ってない、かしら?」


少し頬を染めたクイナさんはそう言った。


「へ?」


思わず気の抜けた声が漏れてしまったので慌てて手で口をふさいだ。

さっきから言いたかった言葉はそれか! ハンスさんといい食いしん坊か!

心の中で突っ込みを入れた。


「あはははは! 俺もさっきそんな言葉言ったぞ!」


「えっ?! ちょっと! ハンスも言ったの?! 恥ずかしい!!」


顔を真っ赤に染めるクイナさん。

ハンスさんの言葉を聞いて慌てふためいている。


「だってしょうがないじゃない。 あっちの世界の食べ物って中々出会えないんだもの」


「分かる。 美味しいんだよなぁ……こっちには無い味で。 前に食べたカップ麺美味しかった」


「私はお菓子。 板チョコだったかな? パキッとして甘くて美味しかった。 こっちでもチョコは作られるようになったけど美味しくないのよね」


こっちにもカカオあるんだ!


テントを畳む手を止めずに会話に加わるハンスさんと照れ笑いしながら話すクイナさん。

私の前に来た渡り人の気持ちも分かる。

……私は今猛烈にこの二人に食べ物を渡したい!!


いや……だって私だって食べたいもののために魔法決めたくらいだし、食べたいのに食べれないのって空腹って調理にさらに思い出スパイス振りかけられたようなものじゃない。


と言うか食いしん坊って言ってすみません。


私も十分食いしん坊です。

気持ちすごいわかります!!

しかも来たばかりだから手持ちの食料は余裕あるし。

それに今の私なら取り寄せ可能だもんね。


「分かりました……お二人とも。 今何が食べたいですか? 出しますよ!」


そして二人の要望に応えることにした。




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