第2話 人間の話題

人間も、家族がいっしょに暮らす。

この団地は一人で暮らす年寄りが多い。

見ているこっちがはらはらするような、バランスで歩く年寄りもいる。


その中でも若いほうの女の年寄りは昼間、よく集まって話をしている。

たいていはそこにいない別の人間について話している。


最近の話題は「高齢者向けの行政サービス」というもののことらしい。

これまで家族の中で主に行われていたことが、外注できるようになったらしい。


A「あなた、見た!? 9号室に、宅配弁当が来てたわね!」

B「見たわよっ!ねー。最近あの家、換気扇なんてまわってなかったものね。」

A「これで、生きてるかどうか毎日確認してもらえて助かるわー。」

B「最近、ごみがたまってたし。怒鳴り声が聞こえることもあったからねぇ。」


とあれやこれや話している。

人間の世界を理解するには時間がかかりそうだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る