7

 深夜、ジャンヌはパソコンの画面を見ていた。

 検索ワードは『復讐』だ。

 ネットに挙げても差し障りのない(仕返し)のエピソードの数々。

 復讐代行業者の詐欺に対する相談。

 嘘か誠か分からぬが、借金が原因で家族を殺された復讐に、犯人に違いないと思う男を殺したという、打ち明け話。

 ハンムラビ法典や聖書に記されている『目には目を。歯には歯を』の内容。

 さらに検索を続けると、彼女が住む久留米市にある小さな店の広告を見つけた。そしてジャンヌの目は、その画面に紹介されている、ある呪われた商品に釘付けになったのだ。

 ブラッククロス。

 恐ろしい凶器だ。

「貯金をはたけば、買えない値段じゃない」

 そう彼女はつぶやいていた。

 ブラッククロス。

 それはこういう謳い文句で売られていた。


【誰も誰かを殺すことは許されない。ただそれを身に着けている者以外は】

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る