幼女と幼男は愉悦を貪られる④モナ編
――きゃぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁあぁぁぁあっ!
生徒達、講師達全員が混乱を極めた中。講堂の出入り口は、全てモナの眷属達で封鎖されている。
「はい。皆落ち着いてね? 椅子に戻らないとモナちゃん怒っちゃうからね? ぷぷぷ」
モナは眷属を使い切り、全員を強制的に席に戻させていく。
こうなっては、全員黙るしかなく、震え、怯え、モナに従うしかない状況だ。流石にサシャの怨嗟魂程の恐怖は与えていないようだけれど、幼女幼男からしてみたら、そこまで変わらないものなのかもしれない。
「じゃあ。続きを聞いてね? 先生達もね? ええとねー、なんだっけ。ぷぷぷ。あ、そうだそうだ。さっきの聞かせた内容だったね。さっきの聞いてから、皆は何をしたんだっけえ?」
――シーンっ
「分からない? 答えにくいのかな? 先生達は大人だから分かるよね? 私が何を言いたいのか」
「モナ先生――」
1人の講師が恐る恐る手を挙げた。
「はい。どうぞぉ!」
モナが手を挙げた講師陣へ向けて手を伸ばし解答を促す。
「我々は、ビータノー君への虐めを黙認しておりました……」
「せぃかーーーーいっ! パチパチパチ! でも、半分かな? 生徒君達も知ってたよね? それなのに、少年を庇いもしなあい。助けてもあげなあい。挙句、虐めっ子達を殺せって。誰がやるの? 自分達で出来るの? 私何かおかしいこと言ってるかな?」
――シーンっ
「ねぇねぇ。人間ってね、本当に、勝手で、愚かで、醜くて、私ねあんまり好きじゃないの。直ぐ他人を蹴落とすし、騙すし、陥れる。普段は如何にも『私は正しい人間ですっ!』とか言っちゃったり。ね? そうでしょ?」
モナは確かにサシャにしか興味を持たない。今でこそサシャに言われてリリーとも良好な関係を保ってはいるけれど、彼女もまた悪魔の一種なのだ。
次第に怯えた生徒の中から、啜り泣く声が聞こえてくる。
が、モナはやめない。
「ねぇねぇ。君。なんで泣いているのかな? 嘘だって知ってるよ?」
モナは泣いている生徒に指を指し質問する
「嘘なんかじゃ――」
嘘じゃないと言いかける生徒の言葉の続きをモナはは遮り大声で否定をした。
「嘘だァァァッ!」
「ヒィッ」
「なんで? 嘘だよ。嘘の塊で、嘘でしか生きていけないんだよ? 人間なんだから。そういう生き物なんだよ。まぁ、良いけど。じゃあ、あの3人をどうしたら良いのかな。わかる人いる?」
――シーンっ
「ほーんとにつまんないね。君達人間は。全くもって『私より悪魔だね』ぷぷぷ。会話も出来ないし飽きちゃた。後は皆で考えるといいと思うの」
「「「…………」」」
虐め3人組は、もうどうしても良いのか分からず混乱をしているのか、蒼白の顔で辺りを見渡している。
「あ、安心していいよー、さっき頭を潰した先生。元通りになるから♡」
そう言い残したモナは、元々の発端の自殺未遂をしていた少年の手を取り、静まり返った講堂から出ていくのであった。
「少年。それなりに仕返しは出来たと思うよ?」
モナが少年にこれがモナ流の『目には目を』だよと言いたい様子。
「ええと。なんと言って良いのか」
少年もまた、怯えてしまった1人ではあるけれど、モナの質問へは答えていく。
「そうだなあ。あの虐めてた子供達もあれだけ全員から『殺せっ』って言われたんだし、懲りたんじゃない? 少年を見ないフリした先生もだけどね」
「そうなんでしょうか」
「うん。きっとそうだよ。じやあ、死にたくなったらお姉さんの元に遊びにおいで! 一生死ねない程に遊んであげるから」
「は、はい。またその時は宜しくお願いします」
「また。があったらダメなんだぞ?」
――ビシッ
「いたっ!」
モナは少年の頭にチョップをかまし、「ばいばいっ」と言いながら、黒の翼を広げて飛び立って行くのだった。
昼頃に屋敷に久しぶりに帰ってきたモナ。ちなみにこの1週間大作戦(モナなりの)の間は、久しぶりに羽を伸ばしたり、講師陣に小細工を仕掛けたり、生徒達にも数人暗示をかけたりではあったけれど、問題という問題はなかったのであろう。
「たっだいまぁ! サシャー、サシャちゃーん」
何時だったか翼を出しっぱなしで叱られたからか、今回は屋敷に到着するなりしまったようだ。
「おかえり。モナちゃん」
「お姉様。おかえりなさい」
「お嬢様。お疲れ様でした」
屋敷には何時ものメンバーが出迎えてくれる。
「えへへぇ。モナちゃん頑張って来たんだよ。いーっぱい褒めてね♡」
と、まぁ。いつもの阿呆な吸血鬼に戻るのがモナである。
「お姉様、まさか、あの少年に眷属化を?」
「何言ってるの。あんな子供、役にたたないじゃん。しないよそんな事」
こうして、モナの壮大な1週間計画は幕を閉じ、その夜は何時もより少しだけにこやかな、そして満足気な吸血鬼姫が食卓を賑わしているのだった。
――――――
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