〈陽菜乃視点〉








「・・・・着替えたの?」





ちょっと待ってとトイレに入って行き

数分後に戻ってきたウサギの服装が変わっていた






ハルト「あんな格好でバイト行ったら揶揄われるよ?笑

  それに…着ないでって約束したでしょ…」





「・・・・・・」






ウサギが1年前のあの神社で言った事を

言っているんだと分かり小さく笑った…






ハルト「何処まで送ってくれるの?笑」





「大通りかな…」





ハルト「食べて帰る??」





「またオシャレして来た時にね?笑」






バイトに行くウサギを途中まで見送ると言うと

「見送り初めてだよね?笑」と

喜ぶウサギをみて3ヶ月契約の時から

「見送りしてくれない」と言っていた事を思い出し

もっとしてあげれば良かったなと思った






ウサギに痕の事を告げれない30歳の私は

結局耐え切ることが出来ずに

ウサギから手を離すしかなかった…





(ウサギと同年代だったらまた違っただろうけど…)






大通りへと着き信号が変わるまでの

あと少しの時間が

ウサギと面と向かって会える

最後の時間だった…







ハルト「バイト終わって…会いに行ってもいい?」





「起きて待ってるから先に電話して?」





ハルト「うん!笑」







信号が青になり「じゃまた夜ね」と笑って

信号を渡っていくウサギの後ろ姿を眺めながら

昼間モールで見たゲージの中のウサギを思い出していた…






「・・・・可哀想よね…」







信号を渡りきって手を振りながら走って行く

ウサギに手を振りかえした






「・・・・野原に帰してあげなきゃ…

  仲間と…楽しく遊ばせてあげないと…」







私のゲージに…

ウサギを閉じ込めるのは可哀想だ…







「さよなら…わたしのラビット君…」








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