〈陽菜乃視点〉










学校とバイトの両立で疲れているウサギは

私にもたれ掛かって小さな寝息を立てている…





正直重いし窮屈だけど…

ウサギの温もりを感じていられるのもあと1時間だから

そのまま動かさないで窓に映るウサギの寝顔を見つめた


 





アキラ「自分なら良かったのにって言ってたよ…

  周りから言われるのが自分だったら

  我慢出来るけど…アンタが言われるのは

  嫌だからって離れたんだよ…」







あの時の私は自分の事ばかりだった…

ウサギに惹かれていて好きな気持ちはあったけど

2月に感じた様に私を想う

ウサギの想いの方が強かった…






( ・・・・だけど…いつの間にか… )







アキラ「ちゃんとアイツと話しなよ!

   ちゃんと話したらアイツはお姉さんの為に

   無理にでも時間作るし…

  バイトだって他のに変えるよ…」






そう…きっとウサギに話したら

ウサギはあのバイト先を辞めただろう…






ハルト「・・・ンッ…」






揺れる振動でウサギの体がズレて一度目を開けたけど

また目を閉じて私の方へと擦り寄ってきた





「まだまだ先だから寝てなさい」





ハルト「・・・・ぅん……zzZ」






口を少し開いて眠るウサギの寝顔は

まだまだ子供で幼さが見える…






( ・・・・あなたはまだ若いから… )






ウサギを好きなあの子を含めて…

あのバイト先の子達はウサギにとって

この先長い友人関係を築いていくだろう…

友樹君達やあの…煌君も…





ウサギがよく送ってきていた

写真に写るその表情は私といる時のものとは違って

年相応の…21歳の顔をして笑っていた…





( ・・・・そのままでいい… )





自分の大学生時代を思い返しながら

大人でもなく子供でもない…

ある程度の制限が外れた年齢の

大学生時代は…楽しかった…




あと数年もせず蒼司君の言う

1週間のメインが仕事となる社会人になる…





(今しか過ごせない時間や友人関係があるから… )






「・・・・私の負けね…」






残り少ないウサギとの時間に目を閉じて

小さく笑って呟いた…







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