11月30日(土)

〈陽菜乃視点〉









玄関のドアを開けて少し冷たい風に

「寒くなるかもね…」と呟いてから

鍵を閉めてエレベーターへと乗った






腕時計を見ると7時20分をさしていて

口の端を少しだけ上げて笑い

駅へと向かって歩いていき






駅のホームで電車を待っている間

1年前にボブにした髪はまた胸元近くまで伸びていて

「髪の毛落ちてますよ!」とまた

月曜日から蒼司君に怒られるかもねと思いながら

ホームに入って来た電車に映る自分を見て

「変わったな…」と呟いた…






髪の長さも服も…

ウサギへの思いも、全てが変わっていた…






「ふぅー」と息を吐いてから

電車へと乗り、空いてる席に腰を降ろし

窓から見える景色を見ながら

この1年間を振り返っていた





1年前はドキドキとした緊張と不安と悲しみを

持って電車に揺られていたけど…

今日は少し違っていた…






「・・・・楽しみかも…笑」






駅の自販機で買ったお茶を飲みながら

腕時計に目を向け「ふふ…」と笑って

窓の外を眺めた続けた…








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