9月1日(日)

〈ハルト視点〉








シュン「えっ?何でいるんだ!?…エッ?」






ハルト「ハァハァ…いっ…1周年だからね?笑」






「・・・・・・」






コウ「1周年?12月だろ?」






ヒナに近づいて行きながらスマホを見ると

あと2分で9月1日だった…






ハルト「お姉さん一人?笑」






そう初めて会った時の言葉をもう一度言うと

ヒナは少し目を見開いてから

俺の首に腕を回してきて

「どこのバカウサギよ…」と言いながら

ギュッと抱きついて来た…






ハルト「うん…遅くなってごめんね?」





「・・・・んっ…」






こんな風に甘えてくるヒナは久しぶりな気がした…

煌が何を思って俺に会いに来たのかは

分からないけど多分何か知っているんだと思った…






シュン「ネーさんは陽兎が来ると

  なんか女の子になるよね?笑」






俊の言葉に「うるさい!」と言って

俺の胸に顔を埋めたまま俊の声のする方に

手を伸ばして叩こうとしてるヒナを見て笑が溢れた






ハルト「女の子なの?笑」






ヒナをからかっているとカウンターの照明が落ちて

キッチンから友樹がロウソクの灯った

ケーキを持って出てきた






ハルト「なんでケーキあんの?笑」





コウ「お前のじゃなくて10分前まで

  ネーさんの誕生日用のケーキだったんだよ!笑」




ハルト「happy birth day ハルトになってるけど?笑」





コウ「それでもネーさんのだったんだよ!笑」





「しょうがないから私のケーキ貸してあげる…笑」






顔を上げたヒナがそう言って俺から離れると

隣りに立って手を繋ぎ「願い事をしてから消してね」と

笑って言ってきた






ハルト「願い事か…」




 


横にいるヒナを見て俺は

息を吹きかけて火を消した…





俺はあの時に隣りにヒナがいる事が

当たり前だと思っていた…





だから願い事は…

〝早く大人になりたい〟と願ったんだ…





そんな事は願わなくても

当たり前にやってくるのに…





今またあの日に戻って

願い事をするのなら俺はきっとこう願うよ…






来年もその先の誕生日にも

アナタが隣りにいてくれますように…と…







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