8月28日(水)

〈アキラ視点〉







シュン「陽兎の誕生日どうする?」






自販機で何買おうかと眺めていると

ふと耳に入ってきた馴染みのある名前に

目の前の自販機に反射している人間に

視線を合わせると陽兎と同じ学部の奴らだった





( そういや9月って言ってたな… )






シュン「またあのバーでお祝いする?」





ユウキ「バカ!今年はネーさんと祝うだろうが!笑」





サトル「ん??バイトだから

  バイト仲間に祝ってもらって

  ネーさんとは日曜日にゆっくりって言ってたよ?」





ユウキ「日曜日休めたのか?」





サトル「それは聞いてないけど

  ネーさんから手作りケーキを

  作ってもらうって浮かれてたよ?笑」






遠ざかって行く会話を聞きながら

先週の土曜日の事を思い出した…




2人体制の時間の内にドリンク補充をしていると

勢いよく扉が開き俺は少し驚いて後に下がった




ついさっき補充したビールをドンドン

取っていかれ、また補充かよと

何気なく顔を覗かせるとお姉さんだった…





( ・・・・これは… )






ヤバイなと何となく感じた…

お姉さんの顔が泣いているならよかったけど…

そうじゃなかったから…




人間生きてれば辛い事や悲しい事だって

あるから泣く事だってある…

だから泣いてるうちはまだ大丈夫だと思う…




去年の冬にココでしゃがみこんで泣いていた

お姉さんは顔もぐちゃぐちゃで

いい大人のする行為じゃなかったけど

好きな男を想って泣いているあの姿は可愛かった…





アキラ「・・・・30歳だしな…」





あのお姉さんは30歳で…

俺たちよりも…大人なんだ…


 



子供の様に執着はしないだろうし

線を引くタイミングだってきっと早い…





カゴにビールを入れて立ち上がった時のあの顔は

〝悲しい〟や〝辛い〟なんて顔じゃなかった…





アキラ「・・・・怖い位に…真顔だったからね…」






ビールを買いに来る頻度も本数も

あの浮気男の時より明らかに多く…

もしその理由が陽兎なら…






アキラ「・・・・多分ヤバイよ…お前…」








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