〈タツヤ視点〉









数年ぶりに母親側のばーちゃん達に会いたくなり

6日から始まる仕事の前に行こうかなと思っていると

陽兎が俺も行くと言い出し

土曜日に行きたいとダダをこねる陽兎に

内心舌打ちをしながら

土曜日の日も昇る前から家を出て

高速に乗り向かう事6時間…






( ありえねぇだろ… )






俺的にはコッチを3日に出て

ばーちゃん家で一泊して4日の早い時間に帰り

5日は家で疲れを取ろうかと思っていたのに

まさかの日帰りツアーだ…






俺は割に合わない話は嫌いなタイプだから

早めにショッピングセンターに着き

後30分で着くと嘘のメールを陽兎に送り

白玉女を見ようと陽兎達を探し回っていた






( いねぇな…なんか食ってんのか? )






初めて来る店と人の多さに気分が悪くなり

缶コーヒーを買って人のいない階段へと歩いていき

座って時間を潰していると…




足音が聞こえてきて、何だよと思いながら

消化器の扉の横に隠れるように座っていると

聞こえてくるリップ音に勘弁してくれよと頭を抱えた






ハルト「・・・・帰ってきたら覚悟しててよね」






タツヤ「・・・・・・」







消化器からそっと顔を出すと

着ている服装から見て間違いなく陽兎だと分かり

こんな所で何やってんだよと呆れた…




肝っ玉カーチャンじゃなくてお前の方がグイグイなのかよ

と驚いて覗いていると相手の女の身長は

思っていたよりも低く…小柄に見える…





甘えた声で「キス」と言う白玉に「はいはい」と

キスをする弟の姿を見ながら

「泣き虫で…たまに…甘えん坊なんだよ」

と顔を赤らめて言っていた事を思い出し

想像とだいぶ違う白玉女に頭が働かないでいる…





てっきり…気の強い姉さん女房のような…

こう言っちゃなんだが…

白玉女には残念なイメージを持っていたから

陽兎がなんであの小柄な女を

白玉なんて言ったのかが分からないでいた…






( 着痩せするタイプなのか?? )






顔を見たいが陽兎が隠すように

両手を添えていて顔が小さいのか手で覆われていて

全然見えねぇ…あのバカ弟が…







ハルト「俺は大好きだよ…

  俺はアナタのことが誰よりも好きだよ」

 



 



タツヤ「・・・・・・」









陽兎達は20分近くイチャイチャとした後に

階段を降りて行こうとして、何としても

白玉が見たい俺は体を床に貼り付けてそっと覗くと







ハルト「ヒナ、階段危ないから手」






陽兎が差し出した手を掴むと

だらしのない顔をした弟が

「素直だね」とからかっていて…







「・・・・生意気よ…」







タツヤ「・・・・・・」








足音が遠ざかっていく中スマホを取り出して

道が混んでて10分遅れると陽兎に送り

ゆっくりと階段を降りていった






( 白玉の意味が分かったわ… 笑 )







アイツの言う白玉は多分肌の白さと肌触りだろう…

そして小さくて小柄な所もか?笑

まっ…一番は美味しくて

病み付きって意味なんだろうが…






あの女の顔を見て

陽兎が小さい頃に白玉を好きで

いくら食べても御代わりと叫んでいた事を思い出した…






フルーツポンチでも…

ぜんざいでも…

きな粉餅でも…






陽兎は一口で食べれて柔らかい

白玉が大好きだった…






タツヤ「普通の餅は硬くて嫌いなんだよな…笑」







元旦に食べた雑煮の餅に「硬くない?」と

文句言ってた姿を思い出しクッと笑いがでる…






初売りの日に陽兎から聞いた

しっかり者のお姉さんも本当だろうし

さっきみたいに、たまに甘える姿も本当何だろう…






普段は強気に叱ってくれて

影であんな風に甘えられたんじゃ

20歳の陽兎が夢中になるのも無理ねぇなと思った








タツヤ「尻に敷かれっぱなしじゃいつか辛くなるし

  甘いばかりじゃ飽きもくるだろうしな…

  ・・・アイツまじでいい女捕まえたな?笑」










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