〈ハルト視点〉







「・・・・ハル…」





後ろから聞こえてきた言葉に驚いて

振り向くとヒナがギュッと手を握ってきて

俺を見上げている…





( ・・・・え? )





ヒナが俺を「ハル」と呼ぶ事は少なく…

ある意味特別な呼び方で…






俺はヒナの腕を引いてから人通りの少ない

階段通路の上の階へと連れていくと

人がいないのを確認してからヒナの顔を隠すように

両手で包み込んでからキスをした






俺のコートの中の脇腹部分の服を

甘えるようにギュッと掴んでくるから

俺も唇を離せず何度も角度を変えながら

ヒナの唇の柔らかさに酔っていく






ヒナは泣き虫で…甘えん坊な人だ…

泣き虫な姿は良く見るけどこんな風に

甘えてくる姿は滅多に見せてくれないから

特別可愛く感じる…






この人は本当にズルイ人なんだ…

電話じゃお姉さんな癖に

会ったら叱られた子供みたいに

皆んなの前で俺の服の袖を掴んできてみたり

顔を覗きこんで「選んで」と言ってきたり…

滅多に呼ばない「ハル」を甘えた声で呼んできたり…






チュッとリップ音をたて唇が少し離れる度に

「ハル」と呼んでまたギュッとしがみついてくる

ヒナが可愛くてたまらない





( やっぱりズルい人だ… )






もう直ぐ帰らなきゃいけない俺に甘えてきて

また2週間会えなくなる日々の俺を

ドンドン沼に沈めようとしてくる…






ハルト「・・・・帰ってきたら覚悟しててよね」






唇を離してヒナの顔を見てそう言うと

「・・キス」と甘えた事を言う9個も年上のヒナに

「はいはい」と言って唇を寄せた…








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