1月2日

〈タツヤ視点〉







俺の予想通り道は混んでるし

駐車場は空きが見つからないしで最悪な買い物だ…

さらに雨まで降り出してきて寒いし

建物に走るまでも濡れる事を考えると

タメ息しか出てこないが、助手席に乗っていた陽兎が

「ちょっと待ってて」と言って車から降りていき

目の前の自販機で飲み物を買って戻ってきた






ハルト「はい、兄ちゃんはコッチ!笑」






タツヤ「微糖??俺はブラックしか飲めねぇんだよ」





ハルト「イライラしてる時は甘い飲み物飲むと

  少し落ち着くらしいよ?笑」






陽兎は自分の分の甘たらしい缶コーヒーを

開けてゴクゴクと飲んで「はぁー」と

楽しそうな顔をしている




俺も渋々陽兎の買ってくれた缶コーヒーを

開けてから一口飲み「甘っ」と言った






ハルト「兄ちゃん、俺の一口飲んでみてよ!」






俺の手にある微糖よりも更に甘いやつなんか

飲めるわけがなく「いい…」と断っても

しつこく言ってくる陽兎に疲れて

一口だけ飲むと咽せるほどの甘さだった







タツヤ「お前そんなの飲んでたら糖尿病になるぞ?」






ハルト「大丈夫だよ!笑

  今微糖飲んだらさっきより飲みやすいよ?」






微糖の缶コーヒーをもう一度飲むと

確かに陽兎の砂糖の様な味のコーヒーに

比べるとまだ飲みやすく感じる…

「飲みやすいでしょ?」と笑ってコッチを

みている陽兎を見ながら

コレも彼女に教えてもらったのかと思い

もう一度手に握っている缶コーヒーを眺めた







タツヤ「お前から奢られんは初めてだな?笑」






ハルト「帰りはちゃんとテナントに入ってる

  コーヒーショップのブラックご馳走するよ?笑」






タツヤ「・・・・バイトしてたらしいな?」






ハルト「じーちゃん?笑 大変だったんだよ!笑」







陽兎は酒屋のバイトの話をしだし

キツかった話や酒の種類を覚えた話をしていて

何となく弟の成長を感じながら聞いた





高2の夏にも耳につけているピアス欲しさに

スタンドでバイトしていて

あの時は間違いなく自分の為のバイトだったが

今回の酒屋は…

片方のピアスをつけている相手の為に

始めたんだろうと思った…







( 何を買いたいのかは知らねぇが…

  今日一日付きやってやるか…笑 )







タツヤ「・・・・何でついてくんだ?」







ショッピングセンターに入り7歳離れている

俺たちが同じ店を見ることはほとんどなく…

俺も来たからには自分の物でも見ようかと

「終わったら連絡しろ」と言って

自分の行きたいショップに向かうと

俺の後ろをついてくる陽兎を不思議に思った







ハルト「兄ちゃんの行くお店ってどんななのかなと思って」






タツヤ「・・・・はっ?」







買い物に来たんじゃないのかと驚きながらも

自分の行きたいショップへと入ると

陽兎が俺から離れて店内の洋服を

一着一着手に取って見ている姿を見て

何で今日俺を誘って仁じゃダメなのかが

ようやく分かった…






タツヤ「なるほどなぁ…笑」






陽兎の彼女は…

俺と同い年か、もしくは俺よりも年上だ…






じーちゃんから陽兎の話を聞いた時は

「え?」と驚き電話の向こうのじーちゃんも

楽しそうに笑って話していた…






夏過ぎから陽兎は夕飯のいる要らないの

連絡と外泊の連絡を毎日するようになり

ほぼ毎日帰らなかったのが

週のほとんどは家に帰るようになり

じーちゃん達と一緒に夕飯を食べているらしい…








祖父「食器も自分で下げてたまに洗ったりしてな?笑」






タツヤ「あの陽兎が食器洗い?笑」






祖父「それだけじゃないぞ、料理までしだしたぞ!笑

  畑で採れた野菜を使ってこの前はパスタを作ってくれてな」








じーちゃんから聞いた話は正直信じられなかった

陽兎は年の離れた末っ子だった事もあり

両親も俺も甘やかしてた部分があったし

家の手伝いなんかした事もない…

料理なんて、学校の授業位だろう…





陽兎の甘ったれていた部分を正してくれている彼女は

きっと年上なんだろうと思った…

同い年や年下じゃそうはならないだろうと思ったし

何よりも陽兎に〝女〟を教えたのは俺だったからだ…笑







( じーちゃんも気づいてるみたいだしなぁ… )






少なくともじーちゃんは

陽兎の変化に喜んでいるよだった




前は迎えの連絡なんてなかったし

今は孫としての陽兎が

より可愛く見えているんだろうと分かり

俺もじーちゃんと同じ気持ちだったから

可愛い弟の恋を手伝ってやろうと思った…














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