第0話 《番外》希望

今日から私、藍園莉花は高校生だ!

期待に胸を膨らませつつ、中学までの友達は多かったが大多数は都会の高校に行ってしまったのでちょっと不安もある。


行けるなら私も行きたかったが、親同士があまり仲が良くないので両親同時に聞いてもらうことが叶わずそのまま近くの高校へ入学した。


「行ってきます!」


「大丈夫?忘れ物はない?事故に合わないように気おつけるのよ?」


優しい母は相も変わらず私の心配をしてくれる。


「うん大丈夫だよ、もう、今日から高校生なんだからもうちょっとこっちを信用して欲しいな」


ちょっと恥ずかしいけど嬉しくもある母の心配に、入学式への期待でちょっとだけテンションのあがった私はにっこりと返した。


「今日は入学式か、仕事で行けなくてすまないな、制服にあってるぞ」


奥から父がピシッとしたスーツで出てきて、固い言葉を投げてきたが、ピシッとした固く、真面目な父はかっこいいと思う。


「ありがとう!じゃあ行ってく-」


「あなた、今日も仕事なの?この前は行ってくれるって言ってたじゃないですか、ホントになんでこんな大事な日にまで仕事を入れるのよ!」


私が気持ちよく行こうと思った矢先にまだこれだ、母も父もどっちもいい人なのだが、どちらも仲が悪く顔を合わせればいつもこうだ、ホントに仲直りして欲しい。


「仕方が無いだろう、相手の会社は今日しかないと言っているんだ、ここを越えれば今までよりもより、収入が多くなって莉花にも高校出できた友達とかと遊ぶほどの余裕はできるはずだ。」


中学の時はお金が理由でたしかに断った経験があるが、隠していたのに父にはなんでも見透かされてしまう。心配してくれるのはありがたいがそれより仲良くして欲しい。


「また、そんなこと言っていつまで経っても行事には行ってくれない、本当は家族より職場の方が楽しいんでしょ?行っていいわよ、莉花も遅れる前に行きなね。」


「職場の方がたのしい?そんな訳ないだろ!いつも相手の会社には機嫌を取らないといけないし、上司にだって気を使ってようやく立場が昇格してきたんだ、ふざけたことを言うのも大概にしろ!」


…母は確かに言い過ぎだと思った。会話において相手の状況をしらないのにも関わらず決めつけて話を進めるのは良くない。

それに、毎日疲れて帰ってくる父のことを対して見ていないなのに可哀想である。


まぁ、時間も押してきたし、行くしかないのだがこのまま放置しておくのも気持ちが悪い。


「お父さん、お母さん、行ってくるけど、私は大丈夫だよ?あまりそういがみ合わないで仲良くしてくれるだけで私は嬉しいから。」


あー、朝から最悪な入学式だ。


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「っは!」


なんで今更こんな夢を見てるんだろう、4ヶ月前の思い出が夢出て来るなんて。


あれから父と母は顔も合わせなくなった。


私はギスギスした家に帰るのが億劫になり、日々帰るのが遅くなっていった、そうなると怒りの矛先は私に向けられ今まで母も父も言ってこなかったような荒々しい言葉を私に投げてきた。


そうして、私は決心した。


「この家から出てこう」


こうして私は隣の県へ逃げ出し、ネットカフェを転々としつつ生活をしていた。


だが3週間もする頃にはお金が無くなり、困った私は途方に暮れていると、泊めてくれるという男性が現れた。


もちろん私の体目当てで、初めてを誰かも知らない人に奪われて以降この行為に私はなんの感情もなくなった。


逃げれるならなんでも良くなっていた私は、そんな事をして食いつなぎながら転々としていて今に至る。


「私って最低だ」


帰るための新幹線代も無ければ転々としているうちに帰りずらくもなった私は最早生きる希望無くなっていた。

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