第4話 王女様との約束

ウォルの家に行く事が決まったけど、やっぱりもう一度、雷斗に会いたい。


「ウォル、雷斗に会えないかな?」


ウォルは少し考え、

「ちょっと確認してくるけど、あまり期待しないでね。もしかしたら、訓練場にいる可能性が高いから、あっちで待ってて」

と連れて来られた場所は、お城の3階のテラスだった。



「ここからまっすぐ庭園の先に訓練場があるんだけど、少し見えるかもしれない。直接会えるか確認してみるから」


ウォルが振り向いた瞬間、ウォルは片膝をついた!


「王女様!」


王女様? 偉い人よね?私も膝つくの?



「あなたがハナね。お辞儀はいいわ」

王女様はニコッと優しく微笑んだ。 王女様はピンク色の髪に金色の瞳・・・・・。 おとぎ話の主人公のようで、可愛くてとても神々しい。


「私はこの国の第一王女のアリスです。ハナの事は、ライトから、話しは聞きました」


私はアリス王女様の小鳥のような綺麗な声も素敵な容姿も全てに心奪われていた。


「運悪く、一緒に連れて来られて、可愛そうだと思うけれども、私達の世界も危機なのです。魔王を倒さない限りライトは帰れません。ハナは理解してくれますか?」


「あ・・・はい」


アリス王女様はニコッと笑って


「良かったです。今はライトに会うことを控えて頂きたいのです」


かわいい声で、何かつらいこと言った?


「私は、雷斗が魔王を倒す時に一緒にいないと、元の世界に帰れないんじゃないでしょうか?」


「今回、ハナは異例なので、わかりませんが、ハナを戦いに同行させることは出来ません」


「それは、危険だからですか?」


「いえ、ライトがあなたを守る戦いをすれば、魔王には勝てません。ライトを死なせたくないのです」


アリス王女様の表情は真剣なものになった。


「私は足でまといなのですね・・・」


「魔王が住む森の近くに『アロニー』という村があります。そこには私の側近のルイスの兄弟が住んでいます。そこにいるアルクというものを訪ねなさい。あなたのお世話を頼んであります。そこでなら、ライトが魔王を倒した後に帰る道が開ければ間に合うかもしれません」


「失礼ながら、王女様、発言を許して頂けますか?」

ウォルが慌てて口をはさむ

「ウォルト、許しましょう」


「王女様ありがとうございます。恐れながら、ハナ様は、この世界に慣れておりません。勇者様が戦いに出るまでは、オークレール公爵家で面倒を見させていただけませんか?」


「ライトが知れば、気が散ってしまいます」


「勇者様が魔王を倒すまでは、会いに行かせませんし、邸の者に箝口令を出します。ハナ様が私の元にいる事を秘密にいたします。今アロニー村に行くのは危険です。ハナ様に生活できる知識を教えさせてください」


ウォルは深々と頭を下げてくれている。 これって・・・・・ウォルが私を守っているのね。 私がこの世界で生きて行くために。



遠くの方で金色の光りが放たれた。




「ライトの魔法を確認しています。あの者はきっと素晴らしい勇者となるでしょう。しかしライトは今から大変な訓練になります。ハナが想像出来る内容ではありません」


「今日を最後にします。会わせてくれませんか?」


私は無表情でアリス王女様におねがいした。


「ダメです。そのかわりに、オークレール公爵家での生活は許しましょう。しかし、城に近づいてはなりません!」


王女様は威厳ある言い方で命令した。


「わかりました。では雷斗が魔王を倒す為に城を出るときまでに、アロニーの村に行きます」


「わかってもらって良かったです」



王女様は納得したようで、城の中へと入って行った。 私は理解出来てないのかも。涙も何も出ない。 ウォルが心配そうに声をかけてくれた

「ハナ?大丈夫?勇者様に会わせてあげれなくてごめんね」


私は雷斗が放つ光りの方を向いた。


「あれが雷斗の光りなのね。あの光りを覚えておくわ」


何度も何度も光りを放つ雷斗。


きっと一生懸命に訓練しているのだろう


雷斗・・・




少しの間だけバイバイ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る