第5話 ライトの怒り
「アリス王女!」
俺は王女のいる部屋の扉をバンっと開けた!
「ライト、訓練は終わったの?」
「アリス王女!話が違うだろ?ハナをどこにやった?」
「ハナは勝手に、この城を出て行きました」
俺はこの女に、苛立ちが隠せない。
扉をバンっと叩いて
「そんなわけがないだろう!」
「どうして、そう思うのですか?出て行く姿を見てないのに」
「ハナは・・・・子供の頃からずっと一緒だった、どこに行くでも必ず相手が心配しないように言伝てをしていくんだ!」
ハナは俺を心配させた事なんてないんだ。
「王女が追い出したんだろ?」
「私はそのような事をしていませんよ。ハナが自分から出て行きました。ライトの邪魔にならないようにと」
俺の邪魔?
「ウォルか?ウォルのところに行ったんだな!」
「ウォル・・・・ウォルトですか?ウォルトからいろいろ状況を聞いていたようですが、ウォルトはこの国の宰相の息子です。ウォルトのところに見ず知らずの女性が邸に入る事は出来ません。ウォルトは次期宰相ですから、未婚の女性が邸に行くと言う事は婚約者の方に失礼になります」
ウォルには婚約者がいるのか? じゃあハナはどこに行ったんだ?
「俺が魔王とやらを倒して帰る道が開いてもハナを置いて帰れない」
「だったら魔王を倒してもこの国に残ってくださっていいのですよ」
「何を言ってるんだ?ハナがいないのに魔王を倒すわけがないだろう?俺はハナを探しに出る!ハナが知らない世界で生きて行けるわけがない!」
アリス王女はクスクスと笑った。
「ハナはライトの事を好きではなかったんじゃないのかしら?それにどこかで暮らしてるかもしれないハナが、魔王が放つ魔物にやられてしまうかもしれない」
「なんだと!」
「仕方ないですわね。ハナの事はこちらで探します。なのでライトは魔王を倒すための力を着けてください。これもハナの為になります」
アリス王女の言う事もわかるが、この女の言う事が信じられない!
「必ず探せよ!それとウォルに会わせてくれ!」
「では、明日にでもウォルト呼びましょう」
俺は何で、あの時ハナに告白したんだ。
次の日でも前の日でも良かったのに何故今日だったんだ。
俺は俺が許せない。
俺は自分の部屋に案内された。
付き添いの女性達が
「お着替えのお手伝いいたします」
と俺の体に触れようとした。 俺はバッと手を払い
「自分の事は自分やる!俺に振れるな」 女性達はそそくさと部屋を出て行った。 ゆっくり部屋を見渡すとそこは、 とても豪華な部屋だった。
俺は奥にある大きなベッドにゴロンと横になった。
ハナ・・・・どこにいる?
明日ウォルに聞くしかないが、ここでは誰も、信用出来ない。
何故、俺が勇者に選ばれたんだ? 俺は特に、特化したものはない。
何もかも夢だったらいいのに、 俺は魔法を使い過ぎて力が出ない。
こんなに弱かったらハナが危ない目にあっても助けられないな。
ハナお願いだから、安全な場所にいてくれ。
そのまま俺は眠りについた。
懐かしい夢を見た。
ハナが小さい・・・・小学低学年の頃か?
『ライト知ってる?高校の裏にある高台の公園から好きな子と一緒に夕日が沈むのを見たら一生幸せになれるんだって。いいなぁ!』
『ハナちゃんは信じてるの?』
俺だ。 小さい頃はいつも一緒に登下校してたな
『今から行く?』
『雷斗君は彼氏じゃないからダメだよ?』
『彼氏?ハナちゃんの事好きだよ?』 『雷斗君が大きくなったらね。ハナね~優しくて強い男の子と付き合うの!』
『僕が強くなったらいいの?』
『フフそうだね』
俺はずっとあの頃からハナが好きだった。だけど大きくなるにつれ、俺の周りには、女の子がまとわりつくようになった。 それからハナは俺に近づかなくなったんだ。まとわりつく女の子の1人からイジメを受けていたと知ったのは、最近だった。 そんな事も知らずに、 ハナにヤキモチをやいてもらいたくて、彼女が出来たって嘘をついたら、ハナは彼氏を作った。 あの時は世界が真っ暗になった。小さな嘘が取り返しがつかなくなるってはじめて知ったんだ。 ハナは彼氏とは、長続きしなかったけど、ハナと手を繋いだとか、キスしたとか思うと、その男を殴りたくなった。
でもハナは手も繋いでなかった。
相手の男が愚痴を言ってるのを聞いて、俺は安心した。
俺はハナの彼氏になりたい。
ハナが見つめる相手も手を繋ぐのも俺でありたい。
もう俺は間違えない。
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