第12話 異能使い
魔女、人間、小人以外の種族でのみとある一定条件下で異能使いという突然変異の子が生まれる。人間族の血が8分の1以下流れている家系には、異能使いが生まれる。それもごく稀な存在だ。一般的な師団員ならば1000人束になっても真祖には届きもしないが、異能使いは、9人だけで真祖と渡り合える程の実力を持っている。恐るべき力だ、この国は現在までに56人の報告が確認されている。その内、吸血鬼は21人存在する。
研究を始めた最初の種族故に、他の種族よりも多く存在しているのだ。そのいずれも、厄介ながら名門の出だ。
なぜ厄介なのか。それは、俺たちに取り入ろうと娘や息子を嫁、婿に取れと事ある毎に要求してくる。
「子どもには政略結婚ではなく、しっかりとお付き合いをしてから結婚して欲しいですね、あなた。」
妻がこう言うのだ。そりゃもう賛同しなければだろう。実際俺らも恋愛結婚だし、出来れば子達も恋愛の果てに結婚して欲しいとは思う。
「そうだな、俺らみたいになるかもしれないからちょっとアレだが。あの子らは自分を許せる人と結婚して欲しいな。娘はそう簡単に渡さんがな。」
あなたって本当に親バカねと言わんばかりに首を振っているが、納得はしているようだ。
「あ、そうだ。これから1年以内にちょっとした内乱が起こるかもしれない。まぁ、もしもなんてあるはずも無いが俺の墓にはネリネを供えてくれ....」
「あなた、私はいつも言ってるじゃないですか。死ぬ時は一緒ですよ、そんなこと言わないでください。」
そう言って目を潤ませている妻はいつも通りで、何があっても俺の隣に居てくれると安心させてくれる。
別に不安を感じてはいなかったが、自分のために泣いてくれる人がいるのは凄く嬉しいものだ。
「あぁ、そうだな。俺らは一緒だ、死んだとしても永劫に」
そう言って笑っていると部屋をノックされた。
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