第10話 真祖の実力

出現した赤黒い玉座にゆっくりと腰掛け、赤い目を光らせ敵を見据える。地面に突き刺さっていた無数の刃は、教会の周囲で流れている血液を吸収して輝きを増していた。


「お前は、冥獄行きが確定した。肉体はこちらで処理しよう...。では、永劫にさよならだ。」


血液を全て吸収した刃は赤黒く輝き教会内を赤く染めた。


「ぐぁぁぁ......かっ.....ぐっ...なに..を....」


「この玉座は出現した瞬間に周囲の血液を全て剣へ吸収させそれが完了すれば、対象の血液を吸収する。つまり、血液の流れを操作して君の血を全ていただくと言うことさ。」


「っっっっ............!!!」


何だこれは、喋れないぞ。それどころか痛い痛い痛い痛い痛い痛いいたい、いた、、い

痛みを感じつつ視界がどんどん狭まって霞んでいく、、、、。


「楽に殺すこともできるがな、一応ここは教会だ自分の罪を神に懺悔でもしながら逝け。」


そのあとは呆気なかった。息を着く間も、言葉を吐く間もなく肉体は滅びた。妖精は肉体が死滅すると灰になり、魂の結晶が形作られる。それを砕いて埋葬するのだがそうすると新しい命としてこの世に再び生を得るのだ。だが、彼にそれは適応されない。冥獄に投獄されるからだ。

そもそも冥獄とは、まだ国家という一つの形態に変わる以前の戦争期に、真祖クラスが小競り合いを繰り返した結果、次元に穴が開きそこからどんどんと広がっていったものだ。戦争が収束する頃には、冥獄は国より大きくなっていた。そこを、我々真祖が存続する種族が責任を持ち監視することになった。いつしか冥獄は、魂の隔離場として決定された。冥獄の執行権は真祖クラスにしか認められていない。なぜなら、一時の感情で使用し罪人を全て放り込もうとした例があるからだ。


ふぅとため息をつきながら玉座を下げる。

背中側からカツカツとこちらへ向かってくる足音が聞こえ始めた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る