第4.5話 真祖のお抱えメイド長は少しおかしい
「真祖様、今日もお着替えのお手伝いをさせていただきます。」
妻の血を吸い終わり、着替えのために自室に戻ると既にメイドが準備を終えていた。
真祖である俺の着替えを担当しているのはメイド長である、ローラだ。彼女は、貴族でも上位の侯爵の出だ。
なんなら、雇ってくださいと館まで自ら来て、見習いからメイド長まで十年で上り詰めた猛者だ。
非常に面倒見がよく、温厚で包容力のある物腰柔らかで、館の誰からも頼られる様な存在になっている。最早この館は、彼女無しでは機能しないことだろう。
そんな彼女が、変な要望を持ちかけてくるとは思いもしなかった。
「.....ん?何だって?」
「いいですか?もう一度言いますよ?」
「あぁ、頼む」
「ヘルミナ様、今日1日女装してください♡」
あぁ、彼女は本気だ...目が血走ってるよ....
どうにか逃げれないものか.......
「は?なんで俺が女装なんてしなきゃならないんだよ。嫌だわそんなの」
「いいんじゃないですか?」
ん?先程別れたはずの愛すべき妻の声が聞こえた気がする....。
確かに妻がそう言うならカツラを被って、カラコンを入れて、女装しても全然構わないが、あいつもあいつで今は着替えている最中のはずだ。
そう思いながら振り返ると、満面の笑みで両手を頬に添え、顔を左右にフリフリしている妻がいた。
「なんで?着替えてるはずじゃ....???」
「面白そうな話が服を脱ぐ前に聞こえたんですもの、そりゃ来ますよ。私からもお願いです。あなた、女装してください♡」
いや、そんなラブビーム飛ばされても....
だが、妻の頼みだ聞こう。俺の脳みそは一瞬でそう答えを弾き出した。
「よし、そこまで言うならやろう。何してるローラ早くウィッグとカラコン、服を用意してこい!」
「ホントにしてくださるのですね!!?これは、確実に眼福ものですね!奥様、御協力ありがとうございます!!」
そう言って猛ダッシュでメイク道具とウィッグ、カラコンに服を持ってきた。
いつからグルになってたんだコイツら....
背筋にゾッと悪寒が走った気がしたが気の所為だろう。
そんなこんなで俺の女装が完成した。
妻には絶賛だったが、子達には見せられない。いや〜ホントに子達が遠征任務をしてくれていて良かった。心の底から子供たちに感謝しつつも、俺いや私の可愛さは、そこら辺の娘どもに負けないほど凄まじかった。
というわけでかなりルンルンで家を出たのだ。
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