第4話 真祖は次世代吸血鬼の現状を知る

「ところで、何でお前は俺をミナちゃんとか呼んでるんだ?頭でも打ったのか?」


俺は、マールに投げかける。


「恐れながら真祖よ、発言をお許し願いたい」


先程から、マールの横にずっと立っていた副隊長が、ようやくと喋り始める。


「許そう」


「ありがとうございます。ところでヘルミナ様、なぜ女装などしているのですか?」


....これに関しては答えたくないが、マールが目を輝かせながらこちらに詰め寄ってくる。


「それはだな、うちのメイドがどうしても真祖様に、女装してほしいと頼んできてな。妻ともいつの間にか結託していて、妻に頼まれたら断れんだろう?しかも、好きでこのような格好をするわけがないだろう…」


「それは、大変失礼なことを聞きました。申し訳ありません、真祖お許し願いたい。」


そう言って深く頭を下げる。


「ちぇ...これでお洋服コレクション着せれると思ったのにぃ」


「いや、よい許す。ディックよ、副隊長ともあろう者がそう易々と頭を下げるでないぞ、貴様は特に誇り高き白鯨の血筋であろうが」


ディックの隣で背筋が凍るような言葉が聞こえたが、無かったことにしてディックに、許しを与え注意もする。


「はっ、有難くお言葉頂戴します。」


毎度の如く、頭を下げるのだが軽めの会釈といった角度だったので満足する。


「うん、本題に入ろうかヘルミナ」


「あぁ、そうだなマール」


「最近、吸血鬼がうちの街に良くうろつくようになって、『無理やり血を吸われた』という報告が後を絶たないんだよ。」


「なるほど、それを対処して欲しいというわけだな。だが、マールお前のことだ。まだ、何か別にあるんじゃないか?」


「おっ、鋭いねぇ〜流石ヘルミナだよぉ伊達に長い付き合いじゃないね〜」


「茶化すな、早くもうひとつの要件も言え」


「それはねぇ〜近頃、アヴァロンの守護者が復活したっぽいんだ。しかも、国家転覆が狙いなんだってさ〜」


「何!?それは、確信を持ってそう言ってるのか?そうでないならいくら真相といえども潰すぞ。」


「もちろん確信はあるよ」


ヘルミナはいや、まさかそんな筈はとブツブツ言っていた。そんな中、マールは急に真面目な顔で語り始める。


「アヴァロンには、円卓が存在するみたいなの、何で円卓なのか分からないけど最悪の事態は察せるね〜」


「........まぁあの時の様にならければ何でもいい。できるならアレは思い出したくもないな。」


そう語るヘルミナ様とマール団長の顔はとても深刻そうに曇っていた。

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