第5話 秘密組織の暗躍

[アヴァロンの守護者]

300年ほど前からその名を聞き始めた。最初は、極めて小さな慈善団体だった。貧しい村に、守護者と呼ばれる幹部と守護騎士と呼ばれる一般団員を派遣し、食料の配給や村から街までの交通整備を行っていた組織だった。

それが崩れ始めたのは、組織ができてから約200年、教祖の血筋が4代目の死で途絶えてしまったことにより、家名は教祖の襲名制となり、それからみるみる慈善事業をしなくなり、国家転覆を狙い闇の中で暗躍し続け、たった5年で指名手配され、その20年後に、円卓によって組織壊滅及び残党殲滅が行われた。



「それにしても、80年の時をかけて復活したとでも言うのか...マール....お前、どこでこの情報を手に入れた...?」


「いやだなぁ〜、さっき言ったじゃないか吸血鬼のは・な・し♡」


「楽園は、人間とエルフの組織だったはずだが?なぜ吸血鬼がいるんだ」


「それが分かったら苦労なんてしてないよ〜、実はね?前回の円卓会議の時から情報は、持っていたんだけどあまりに少なすぎてね〜確証がなかったんだよね」


「それじゃあ何で、今、俺にその話をしたんだ?」


「件の吸血鬼を捕縛、尋問した時にね〜

今代の教祖は、吸血鬼だって話してくれたし〜何なら全種族揃ってるみたいなんだよね」


「組織規模は、昔よりも大規模になってそうだな」


「そうそう、その通り」


なんで誇らしげなんだこいつ、にしてもあの殲滅戦の指揮を執ったのは俺だぞ...

確かに1匹も逃さず壊滅させたはずなんだが...


(ふっふっふっ、へルミナってば悩んでるぅ〜

あ〜話してよかった〜。それにしても、なんであんな組織が復活なんて騒ぎになったのかなぁ〜)


重苦しい空気で会談の時間は過ぎていっている。副団長ではある私だが、あの事件のことは作戦に参加した種族と円卓しか知らない。海を存分に泳いで心を落ち着かせたいがそんな場合でもないようだ。私たち警護にはなにがなんだかわからないまま真祖たちは話をしている。後でこっそりとマール団長に聞いてみよう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る