秒針の音が聞こえる。

 部屋の2つの秒針が重なることは無い。


 常夜灯は辺りを照らす。真っ暗にすることは無い。


 隣のスマホに手を置く。

 ─いや、やめておこうか。


 改めて目を瞑ると浮かぶ微かな景色。見覚えがあるのに思い出せない場所。夢の中か、現実か。



 目が覚める。

 秒針の音はもう聞こえない。

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