第10話 お礼

はー、とは長い付き合いになっている気がする。

その間に長妻が来てから.....その。

世界がますます変わった気がする。

どれぐらい変わったかと言えば想像を遥か斜めに行く感じだな。

色々な意味で長妻にはお礼をしないといけないかもしれない。


「みーちゃん。じゃあデート開始だね。スーパー行こうか」


「.....は?デートで何でスーパーなんだ」


「私はそういう場所が好きだから」


「メチャクチャだがそれで良いのか」


「うんうん」


まさかのデート場所が近所のスーパーかよ。

思いながら俺達は近所のスーパーに行こうとした時。

何か視線を感じた。

俺は、?、を浮かべて背後を見る。

そこに黒ずくめな感じの男達が見えた気がしたが。


「なあ。はー。監視されてないか?俺達」


「そうだね。.....監視は付いていると思うよ私達に。だから下手な真似よりかはスーパーの方が良いかなって思った。この中ならまあ人多いし」


「成程な。.....お前の気持ちはよく分かった。んじゃ行くか」


「うん」


そして俺達はスーパーにやって来る。

流石に人を避ける様に黒ずくめの奴らは来なかった。

俺は、ふむ、と思いながら、はー、を見る。

はー、は外を見て警戒している様だ。


「.....くだらないな。私なんか監視しても意味無いのに。好きにやらせてほしい」


「まあそれだけ相手様にとっては俺が脅威って事だろ。お前じゃなくて」


「.....そうだね」


「どうする?この後」


「この後は取り敢えず逃げようと思う」


「逃げれるのか?」


うん、と言いながら、はー、は頷く。

それから迷う事なく従業員の勝手口に向かう。

そしてそれに気付いた男性?が出て来る、というかこ、これはオネエか。

頭がパーマのスマイルがめっちゃ似合う男。

店長、とネームプレートに刻まれているが.....。


「ぁらぁ?良い男ねぇ。今日はどうしたの?はーちゃん」


「.....すいません。カラットさん。実はー」


知り合いかよ、と思っているとムキッと筋肉を出したオネエ。

それから、任せてちょうだい、と笑顔になる。

俺はカラットさんというその人を見てから、はー、を見る。

はー、何を言ったんだ、と聞くと。

そんな、はー、は、従業員室から表に出るの。そう約束したの、と笑みをニヤッと浮かべる。


「成程な。悪知恵だな」


「悪知恵じゃないわよ。それこそ正義って言うのよぉん。ところで貴方はもしかしてはーちゃんの恋人の皆穂ちゃんかしらァん?」


「はい。横長皆穂です」


「私はカラットよ。よろしくねぇん。因みにはーちゃんとは結構前から知り合いよ」


「.....お前本当に色々な人と関わり合いがあって人脈があるよな。はー」


「これを才能って言うんだよ。アハハ」


才能か。

確かにそれは似合っているかもな。

思いながら苦笑い。

それから俺達は混雑している店内を見渡してから。

カラットさんを見る。


「監視カメラは常時作動中よ。.....そんな黒ずくめのクズどもが来たら分かるわ」


「有難う御座います」


「なんの。こんなの私にとってはお礼されるにも及ばないわ」


それからまたニカッとするカラットさん。

俺と、はー、はその姿にクスクスと笑ってから、じゃあまあ後でね。私は監視体制を強化するわ。見回るからねん、と言いながらカラットさんは去って行った。

それを確認してから、はー、を見る。

面白い方でしょ?、と言ってくる。


「それよりも人脈に驚きだわ」


「まあ人脈を広げて悪い事は何もないからねぇ」


「.....まあそうだけどな」


じゃあ行こうか、と俺に手を.....ゆっくり差し出す、はー。

俺はその手を見ながら、人が多いって、と言うが。

はー、は構わずに握ってきた。

俺の手を、である。


「お、お前」


「私が握りたかったから」


「恥ずかしいってばよ」


「気にしないよ。アハハ」


そして俺達は少しだけ滞在してから。

そのままカラットさんに誘われ。

出て来るとは思えない様な場所から脱出した。

それから俺達は振り払ってから俺の家に来る.....。

玄関のドアを開けた。



「お兄ちゃん.....と、はーさん」


「うん」


「蝶。取り敢えずお茶を出してやってくれないか」


「あ.....分かった。お兄ちゃん」


それから俺達は玄関から上がる。

そして俺は、上がってくれ。はー、と声を掛ける。

そうしてから、はー、の手を握る。

すると、はー、はビックリした様に顔を上げた。


「え!?」


「.....どした?はー」


「い、いや。簡単に手を握られたから」


「.....あ.....」


す、すまん!次いでと思ってやっちまった!、と謝るが。

はー、は、ううん。気にしないで、と笑顔になる。

俺が握らないと言った癖に。

こんな簡単に握っては意味が無いわな。

思いながら、はー、を見る。

話題を切り替えよう。


「はー。ところで食材をいっぱい買っていたが.....どうするんだ?」


「おや。気付きましたか。.....お礼をしようって思って。今日のデートの」


「.....え?デートの礼って?」


「そのまま。お礼がしたいって事。だから作るよ今日のご飯」


「ああ。そんなに考えなくても良いのに」


「私がしたいって言うから。大丈夫だよ」


張り切る、はー。

そして上がってから蝶にそう伝える。

すると蝶も喜んで反応した。


それから料理の下拵え。

蝶も参加の下拵えが始まる。

俺はその間.....外を眺めていた。

何故かというと。

変な奴らが付いて来てないだろうか、と気になったから、である。

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