第8話 愛しい人へ
俺は未練タラタラだけど、はー、がまだ好きなんだと思う。
だけどそんな、はー、を幾ら好いても俺は.....はー、の横に辿り着けないってのは分かっている。
だから俺は何も考えずに、はー、に接する。
何故かといえば簡単だ。
嫌われたくないのかもしれない。
ワガママだろう単なる。
だけどそれでも。
「.....屋上に行くのか?」
「そうだね。みーちゃんも屋上好きでしょ?」
「私も好きです。屋上」
「だからみんなで屋上でご飯食べようかなって」
「それは良い考えかもな」
そして俺達は屋上への階段を登ってからドアを開ける。
すると青空が広がっておりまさに良い天気だった。
俺達は、綺麗だねぇ、と言いながら空を見上げてみる。
そうしていると長妻が、ちょうど青空ですがベンチ空いてますね、と笑顔になる。
「その様だな」
「あそこに座りましょう」
「だな」
それから俺達はベンチに腰掛ける。
すると中央に俺が腰掛け。
そうしてから右に長妻。
左に、はー、が腰掛ける。
な、何?
「む。凪山先輩。.....その様な座り方だと先輩を板挟みにしますよ?」
「まあワザとやっているよ?あはは」
「.....ほーん.....」
長妻はジト目になってからそのまま、はー、を見る。
はー、は俺を見上げてくる。
それから何を思ったかそのまま腕に絡みついてきた。
これでは恋人の様だ。
俺は真っ赤になりながら、はー、を見る。
何してんだ?!、と言いながら。
「あ、あくまで大切な人である事は間違いないから」
「ずるいです!私も!」
「お前ら!良い加減にしろ!?」
長妻が右から抱いてくる。
しかも、はー、の大切な人って何だよ!?
俺は赤くなりながら大慌てになる。
コイツら!身動きが取れねぇ!
思いながら俺は2人をそのままひっぺがす。
「.....お前ら.....取り敢えず落ち着け」
「.....落ち着いてるから」
「.....そうですね。.....ははは」
「.....」
睨み合う2人。
どうしようもねぇ奴らだな。
思いながらそのまま、はー、を見る。
何でこんなに嫉妬しているのか分からないが。
そうすると長妻が時計を見てハッとした。
時間が無くなりますね、と言い出す。
「.....そ、そうだね。.....じゃあ食べさせないと」
「.....そうだな.....え?食べさせないと?」
「私の料理食べてくれるよね?」
「.....あ、ああ.....?」
だがそれに対して長妻が、ずるいです!!!!!、と大声を発した。
それから何かを取り出す。
巨大な.....弁当箱。
鞄を持っていたのはそれが原因か!!!!?
俺は赤くなる。
そして長妻を見ていると長妻は、いっぱい作ったんで食べて下さいね♡、と言う。
その量といえば.....3段重ねの御重のイメージだった。
何というか.....めっちゃ量が多い。
こんなに食えるか!?
「先輩。残したらあきまへんで」
「.....お前は何処ぞのアニメのおばさんか。こんな食える訳ないだろ」
「.....え.....先輩。全部食べてくれないんですか?」
美味しそうなご飯を前に。
うるうると涙を浮かべ始める長妻。
コイツという.....。
思っていると左右から攻められてくる。
左は、はー。
そして右から長妻。
俺は、お、お前ら、と青ざめる。
逃げられないと悟った。
「.....もうヤケクソだ!!!!!」
俺は決意してカッと見開きつつ。
そのまま2人から受け取った弁当のご飯を食べ始める。
何というか素晴らしく美味いのはやはり長妻だ。
だけど.....美味しさでは、はー、も負けてない。
美味しい、と思う。
「.....美味いな。はー」
「美味しい!?有難う!みーちゃん」
「うーん?先輩?私にはないんですか?」
「お前のも美味い。すまん」
「後付けですね?パイセン」
「いやウルセェなお前.....」
俺を見ながらジト目になる長妻。
そんな長妻を見ながら俺は苦笑いを浮かべる。
それから俺は2人を見る。
俺はまたヤケクソでいっぱい食べる。
そして俺は御重のご飯と、はー、の料理を完食してから2人を見る。
「.....でも有難うな2人共」
「何がですか?」
「.....何が?」
「.....美味しかった。.....感謝している。幸せになった」
「パイセン.....」
「.....あ、有難う.....」
そして俺を赤くなって見てくる2人。
俺はその姿を見ながら柔和になる。
すると長妻が、ところで、と切り出す。
そんな言葉に?を浮かべてながら長妻を見る。
そうしているとこんな言葉を発した。
「.....凪山先輩ももしや先輩が好きなんですか?」
「.....!?」
「へ.....!?」
はー、は慌てて真っ赤になる。
それからグルグルと目を回転させた。
な、何言っているの!、と言いながら。
目に見えて明らかであった。
はー、は俺が好きだって事が、だ。
「.....え?はー。お前好きになったのか?俺の事」
「ま、まさか!?」
「嘘ですね。.....凪山先輩。嘘ばかりだと醜くなるだけですよ」
「.....」
真剣な顔をする長妻。
それから俺達は、はー、を見る。
すると、はー、は溜息を吐いてから、悪い?、と切り出した。
俺は心底真っ赤になる。
ま、まさか!?
「はー。お前マジか?」
「.....こんだけされたら好きになるよ。格好良い姿とか見ているしね」
「.....マジか.....」
俺は額に手を添える。
そして苦笑していると、じゃあ、と長妻が立ち上がった。
それから俺を真っ直ぐに見てくる。
その、と言いながら。
そうしてから、私は負けないので、と宣言した。
「.....蜜柑.....」
「.....こんなもんで負ける程、やわじゃないので。.....だから私は挫けないし負けませんよ絶対に」
「.....長妻.....」
「.....これは私の勝ちです」
長妻は高笑いする。
心底で良い奴だな、って思う。
相変わらずだけどな、とも。
すると、はー、が笑顔になってから、私も負けない、と長妻の手を握る。
それから笑みを浮かべた。
「.....絶対に勝つ」
「まあ私ですけどね。勝つのは」
「私だよ」
「.....お前ら」
相変わらずだなコイツら!
考えながら居ると、はー、も長妻も俺を見てから、だから近くで見守って下さいね、と言葉を発した。
その小さな手を差し出しながら。
俺はその姿に、はいよ、と柔和になって返事をして立ち上がる。
ったく、と思いながら、であるが。
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