第7話 横に居させて

「何かあったのか。はー」


3時限目の休み時間。

意を決して聞いてみる。

俺はそんな事を言いながら、はー、を見る。


すると、はー、は、え?、という感じで驚きながら俺を見てくる。

その姿に、何か深刻そうな顔だったからな、と答える。

すると、はー、はビクッとしながら、な、何でもないよ、と答える。


「.....それは本当か」


「.....うん。.....全然大丈夫」


「.....例えばお前のお見合い相手が何か言ったとかじゃないのか」


「.....え.....あ.....」


はー、は俯きながら唇を噛む。

俺はその姿に、はー、の机の前にある椅子に腰掛ける。

それから天井を見上げる。

そして、俺達はどれだけあっても幼馴染同士だ。.....だから隠そうとしても分かるんだよ、と答えた。


「.....そうだよね.....うん」


「.....何があったんだ。話してくれないか」


「.....えっと.....お見合いの相手の人がね.....『僕と遊んでくれないか』.....って言ってきたの.....何か嫌な予感がする」


「.....」


殴り飛ばしたい気分だな。

気持ちわる。

思いながら、はー。行くな、と答える。

それが駄目なら俺も一緒に行く、と言いながら。

すると涙を浮かべて少しずつ泣き始めた、はー。


俺はその顔を見ながらズキッと胸が痛む。

それから、気持ち悪いけど.....親同士だし仕方が無い部分もあるんだよね、と答える、はー、を見る。

そんなもん糞食らえ、と答えた俺。

そして、はー、の手をゆっくり握ってみる。


「はー。俺は仮にもお前が好きだ。.....だからこそそういうのは糞食らえって思うから。.....正直言って.....気持ちが悪いし。.....会わせてくれソイツに」


「会ってどうなるの?駄目だよ。みーちゃん。.....親同士の関係なんだよ?」


「いや。そうは言ってもな。.....自らの娘がそんな目に遭っておいて放置する両親とか居ないだろ。絶対に説得出来る」


「.....そうかな.....だといいな」


はー、は涙を必死に拭う。

そんな会話をしながら俺達は見合う。

何だか.....許せない。

それもガチに許せない。


はー、をこんな目に遭わすなんて.....ガツンと言ってやらなければ。

思いながら俺は、はー、の涙を見る。

それから俺は顎に手を添えた。

そして考えていると。


「みーちゃんは何でそこまでしてくれるの.....好きだって言っても.....」


「.....簡単だな。.....俺の仲間だからな」


「.....みーちゃん.....」


「だから俺はお前を救うよ。.....何があってもな」


「.....うん。もう.....みーちゃんのバカ」


そんな惚気な感じで居ると。

クラスメイトが、コラ!イチャイチャすんなよ!、と叱ってきた。

俺達はその言葉に赤くなる。

み、みーちゃん。取り敢えずは離れようか、とクラスメイト。

俺はその言葉に、そ、そうだな、と苦笑い。


「.....でもみーちゃんに話して気楽になった」


「.....そうか?.....なら良いが」


「.....仲間に頼るってのは良いんだね。.....本当に」


「頼ってくれよな。.....これからどしどし」


「.....うん」


でもね。みーちゃん。仲間って思ってない。私は.....、と言葉が聞こえなくなる。

俺は?を浮かべてその姿を見る。

はー、は首を振りながら笑顔になる。

そして胸をドンッと叩いた。

それから満面の笑顔で、有難う、と言ってくる。


「そうだな.....?」


「私はもう大丈夫。.....有難うね」


「.....そうか?」


「.....でも時には横に居させて。貴方の横に」


「.....そうだな」


「みーちゃんに頼らないと死んじゃうと思うしね」


何だそりゃ、と言いながら俺は苦笑い。

それから俺達はそのまま話してから次の時間になる。

はー、の件は取り敢えず.....文句を言いに行く事にした。

まあ簡単に言えば俺の好きだった女の子に手出しした罰を受けてもらう。

思いながら.....俺は決意を固める。



「みーちゃん。.....ご飯食べない?」


「.....ご飯?お前と一緒にか?」


「う、うん。実は.....その.....お弁当作ったの」


「.....え?.....マジか?」


「そうだね。.....だから一緒に食べてほしい」


笑みを浮かべながら俺に向いてくる、はー。

俺はその姿に驚きながらも、そうか、と優しく微笑む。

それから俺は、はー、の弁当を食べる事になった。

はー、の料理か.....何か初めて聞いたな。


「.....お料理の練習はしていたけど.....あまり期待しないでね」


「そうなんだな.....分かった。お前の弁当なら楽しみだな」


「.....必死に作ったんだけど.....その。真面目にグチャグチャになっているかもだし」


「.....はー。そんなに心配しなくて良いよ。.....好きな人からそんな感じで色々なものを貰えれば誰でも嬉しいと思うし」


「.....そうかな.....うん。まあみーちゃんが言うなら.....」


それから俺達は頷き合いながら笑みを浮かべる。

そして教室から出ていると。

長妻の様だが、パイセン!!!!!待ってぇ!!!!!、と大声が聞こえた。

いや、オイ.....良い加減にしろ。

絶叫すな。

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