第4話 仕組まれたデートと愛のデートと

恋愛を偽装する。

それを幼馴染の凪山春風に言われた。

何故そうなのかと言えば。


説明が複雑であるが.....まあ簡単に言うと。

結婚したく無いから俺と恋愛してほしい、という事だった。

このままでは、はー、は家の都合で婚約する事になるのであるが。

それを防ぐ為に俺と婚約してほしいという事なのだ。


しかしそれは良いのだが.....俺と付き合うのも相当だと思うのだが。

何故なら俺はその前日にフラれているのだ。

つまり俺から告白して玉砕している。


そういう事なので今更付き合うなどおかしな事なのだ。

なのに.....はー、は俺を選択した。

これは一体どういう事だ?


『先輩。私は絶対に諦めません。.....だって命の恩人ですから。初恋の人ですから』


長妻はそう言い残し。

そのままお菓子を置いてからそのまま後にした。

俺は盛大に溜息を吐きながらもその姿を見送ってから。


部屋で勉強をしていた。

7月といえば.....そうだな。

俺達の学校では中間考査があるのである。

まあ悲惨な結果を得る訳にはいかないので勉強しなくては。

進路に関わるしな、と思ってテーブルのライトを点けて勉強していた、のだが。


プルルルル


「.....何だ?こんな時間に」


午後8時。

突然.....スマホの電話が鳴った。

俺は?を浮かべて電話の主を見る。

その主は.....はー、だった。

まさか、と思いながら俺は電話に出る。


「ど、どうした。はー」


『もしもし.....みーちゃん?ゴメンね。今空いてる?』


「.....空いてるっちゃ空いてるが.....どうした」


まあそれは完璧に嘘だが。

でも丁度良い息抜きにはなるだろう。

思いながら電話を受ける。

すると、みーちゃん。海に行かない?、と言ってくる。

え.....いきなりだな.....ドキドキする。


『海で.....デートして、だって。.....お父さんが言ってる』


「.....ああ.....成程」


肩を落とす俺。

期待外れで少しガッカリだ。

思いながらもこれはチャンスじゃないか?、と思ってしまった。

はー、にアピールする、だ。


考えながら期待に満たされながら、大丈夫だ。行こうか、と言う。

すると、はー、は、うん。じゃあ来週にでも、と言ってくる。

お父さんが『早くデートしなければ付き合っているとは言えないな』とも言っているし、と、はー、は言ってくる。

俺は苦笑しながら話を聞く。


「なあ。はー」


『何?みーちゃん』


「き、聞いても良いか?お前なんで俺をフったんだ」


『おや?いきなりですな。みーちゃん。乙女にその質問は厳禁ですぞ』


「.....で、でも俺は知りたい」


うーん、と顎に手を添える様な言葉を言ってくる、はー。

それから、私とみーちゃんはあくまで幼馴染で居たいかな、って思ったの。

と返事をしてきた。

それに私は釣り合わないよ。みーちゃんに、とも。

俺は、!、と思いながら。

そうか、と返事をした。


『君にはもっと良い人が見つかるよ。こんな私なんかよりも。長妻さんとか』


「.....」


『ねえ。みーちゃん。君は長妻さんと付き合ったら良いんじゃない?それが一番ベストだと思う。こんな私は求めちゃダメだよ』


「.....お前.....」


『怒るかもしれない。悲しむかもしれない。でも私ね。.....君を不幸にしたく無いからね。だからあくまで今だけの契約だよ』


ニコニコしながらだろうけど。

はー、はそう言ってきた。

人の気も知らないで.....畜生め。

思いながらだったが何も言えず.....俺は。

そのまま押し黙った。


『みーちゃん。私は君に恋愛感情は向かない。.....だけど君が一生懸命に私を愛してくれているのは知っている。.....だからその感情は.....長妻さんに向けてあげて』


「.....はー.....」


『.....まあそう言う事だから。用は済んだから電話切るね。お休みなさい』


「ああ。お休み」


それから俺は電話を切った。

そして.....スマホの背景画面にしている幼い頃の写真を見る。

でも諦め切れないんだよなやっぱ。

はー、の事は好きだ。

お金とかじゃ無くてこれは真実の愛だ。


「.....」


そうしていると電話がまた掛かってきた。

今度は.....長妻である。

何だ一体、と思いながら電話に出る。

因みにこの電話だが.....交換した。

半ば無理矢理に、だが。


『もしもし。先輩ですか』


「どうした。長妻」


『はい。お祭りに行きましょう!』


「.....あの.....いきなり過ぎて何もかもがぶっ飛んでいる。.....何故に」


『だって先輩とデートしたいです』


「.....断る」


そうですか.....ヘァ!?、と声がした。

女の子が出して良い声では無い。

俺は盛大に溜息を吐きながら、暇じゃ無いんだぞ、と言う。

テストもあるしな、とも。

すると、そんな事言って良いんですかね?先輩、と言ってくる長妻。


「.....何だその脅す様な口調は」


『.....私、先輩の家に夜這いの為に引き込まれたって凪山先輩に言います.....♡』


「ぶっ殺す!!!!!」


『嫌でしょう?アハハ。じゃあ私とデートして下さい』


「.....」


どいつもコイツも.....畜生めが。

何故お祭りなんぞに行かなくてはならない。

思いながら俺は盛大に溜息をまた吐き。


それから約束を交わした。

祭りのある来週にデートする事を、だ。

テストあって暇じゃ無いのに.....。

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