【2/9コミックス2巻発売】貸した魔力は【リボ払い】で強制徴収〜パーティー追放された俺は、可愛いサポート妖精と一緒に取り立てた魔力を運用して最強を目指す。限界まで搾り取ってやるから地獄を見やがれ〜
第261話 最後の試練(5):サード・シーケンス
第261話 最後の試練(5):サード・シーケンス
「リンカ、あれを」
「はいっ!」
これまでに累積されたダメージで、天使の全身にヒビが入っている。
そろそろ、頃合いだ。
俺の合図で、リンカが二刀を構える。
「
目に見えぬ高速の斬撃。
これで天使の胴を両断できるか――そう思ったが。
天使は辛うじて反応。
両腕で胴をかばった。
一命を――とはいかなかったが、かばった右腕が、肘から落ちる。
「よし、次は左腕だ」
リンカに反撃を仕掛けるかと思ったが、天使は標的をラーシェスに変えた。
「マズい」
ラーシェスはリンカの攻撃に見蕩れていたせいで、反応がワンテンポ遅れる。
天使はそれを見逃さない。
残った左腕でラーシェスを殴る。
――ガンッ。
ラーシェスは頭を殴られ、数メートル吹き飛んだ。
「ラーシェスさん!」
リンカが叫ぶ。
俺は駈け出す。
同じタイミングでリンカも。
天使の追撃を阻もうと、リンカはラーシェスと天使の間に、強引に割り込む。
「リンカッ!」
――ガンッ。
リンカも殴り飛ばされる。
だが、リンカが時間を作ってくれたおかげで、俺が間に合った。
俺はラーシェスを抱えて、天使から離れる。
クソッ。
俺の回復魔法は効かないし、唯一の回復手段を持つラーシェスはこの様だ。
「ラーシェス、起きろッ!」
俺は彼女の頬を叩く。何度も何度も。
「うっ……」
「目が覚めたか?」
「うっ、うん。今のは?」
「取りあえず、自分を回復させろ」
「わかった」
『――【
まだ、意識がしっかりとしていなかったが、【
「大丈夫、まだ、戦える。ボクはどうすれば良い?」
「今は様子見だ。リンカのケガを治してくれ」
「わかった」
『――【
ラーシェスがリンカの傷を癒やす。
リンカはすぐに立ち上がり、天使と向き合う。
彼女の戦意はまったく失われていない。
それどころか、顔には凄惨な笑みを浮かべている。
あれは――。
何度か見た表情だ。
激しい戦いの最中に現れるあの表情。
あれは――内なる獣がリンカを内側から喰い尽くそうとしている顔だ。
「ヤバいッ!」
今の状況で俺に出来ることはほとんどない。
唯一出来るのは、リンカの弐之太刀か参之太刀にスキル強化をかけることだが……。
どちらのスキルも発動が速すぎる。
今まで何度となく練習したが、未だに上手く合わせられない。
天使は負傷の影響がないようだ。
変わらず、不気味な顔でリンカを見ている。
リンカの口元が裂けんばかりに持ち上げられる。
両者が交錯する。
――ぼとり。
腕が落ちた音だ。
天使の腕だ。
俺は飛び出して、リンカに抱きつく。
「リンカ、リンカ、リンカ」
彼女の身体を揺すぶりながら、何度も何度も呼びかける。
戦いに勝ったとしても、リンカが内なる獣に呑み込まれてしまっては俺たちの負けだ。
必死に続けていると――。
「……レント、さん?」
彼女が目を開ける。
目が合う。
いつもと同じリンカの目だ。
「大丈夫?」
「はい。もしかして、私……」
「ああ、でも、もう平気そうだね」
「はい」
良かった。
「起きられる?」
「はい」
俺は彼女の手を掴み、引き起こす。
うん。もう、大丈夫そうだ。
後は、天使だ。
今は、動きを止めている。
だが、普通のモンスターではない。
両腕を失っても、まだ、天使からは嫌な気配が感じられる。
次にどんな攻撃が来るか。
こちらも迂闊に動けない。
――七罪刻印者と断定
――全滅を命ず
――サード・シーケンス
――レイモード
「ヤバいッス! アレを喰らったらヤバいッス!」
アンガーが慌てて絶叫するが――。
天使の目――青い珠に光が収束する。
次の瞬間――一条の白い光線。
「がはっ」
リンカの胸に大穴が空いた。
俺だけではなく、リンカもまったく反応できなかった。
その穴を見て、俺は悟る。
もう、リンカは助からないと。
『――【
慌てて、ラーシェスが回復スキルを発動させようとするが――。
「がはっ」
ラーシェスの胸にも大穴が空く。
なんでだ。
どうしてだ。
俺たちはどこで間違えたのか。
そして――俺の腹にも。
◇◆◇◆◇◆◇
【後書き】
次回――『???』
続きます。
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